金主愛

金主愛（キム・ジュエ）

金主愛（キム・ジュエ、朝：김주애、2013年生まれ）は、北朝鮮の最高指導者金正恩の娘です。彼女は、2023年に「朝鮮の新星」や「女将軍」といった称号を与えられ、その存在が注目されています。これは、北朝鮮内での世襲政治を強く意識させる要因となっています。

略歴

金主愛は、金正恩とその配偶者である李雪主の間に生まれた子どもです。彼女の誕生年は一般的に2013年とされ、李雪主が2012年から北朝鮮メディアから姿を消していた時期に妊娠していたとされています。彼女の名前が広く知られるようになったのは、2013年にNBA選手デニス・ロッドマンが金正恩を訪問した際のことでした。ロッドマンは、金正恩を「良き父親」として称賛し、その後、金主愛の存在が明るみに出ました。

主愛には兄と弟もしくは妹がいると考えられています。兄は2010年生まれとされ、弟または妹は2017年またはその前後に生まれたと見られます。彼女が公の場に初めて登場したのは、2022年11月のことでした。このとき、彼女は金正恩と共に姿を現しました。

国家メディアは、初めは金正恩の「愛するお子様」と紹介していたものの、その後「尊敬するお子様」と表現を変えました。「尊敬する」という言葉は北朝鮮では最高権力者に対して用いられる特別な敬称です。2023年2月、金主愛は朝鮮人民軍創建75周年記念行事に参加し、金正恩とのツーショットや幹部に囲まれた写真が報じられました。

主愛の存在感の強調

金正恩の意向を反映して、主愛の存在感はますます強調されています。韓国の国家情報院によると、これは金正恩が世襲政治を模索していることを示すものとされています。一部の専門家は、彼女が正恩の後継者候補の一人である可能性があると分析しています。

2023年11月27日、ラジオ・フリー・アジアは、北朝鮮の軍事偵察衛星打ち上げ成功を祝う記念講演会で、「朝鮮の新星（金主愛）女将軍」と呼ばれ、彼女に対する神格化が始まったと報じました。《韓国の統一部》は、その動向を注視しています。そして、脱北者の韓国国会議員は、情報が真実であれば彼女の後継手続きが完了した可能性があると指摘しました。

2024年3月には、朝鮮中央通信が金主愛に「偉大嚮導者」との称号を与えるなど、彼女の重要性が更に強調されました。これは、彼女が正恩の有力な後継者と見なされることを示唆しています。

後継者としての評価

一方で、男子の後継者も存在するため、金主愛が後継者となる可能性に疑問を持つ声もあります。元国家情報院長の朴智元は、金主愛が金正恩に溺愛されていることは認めつつも、後継者としての可能性に懐疑的です。彼は金主愛を表に出すことで、本命の息子の留学を隠す意図があるのではないかと示唆しています。

このように金主愛の存在は、北朝鮮の権力構造の中で注目されており、彼女が将来的にどのような役割を果たすかは今後の重要な課題となるでしょう。

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