金刀比羅宮

金刀比羅宮（ことひらぐう）

金刀比羅宮は、香川県仲多度郡琴平町の象頭山中腹に位置する独立した神社です。明治初年までは金毘羅大権現と呼ばれ、地元では「讃岐の金毘羅さん」として広く知られていました。近代以降は「金比羅さん」という通称で親しまれています。

概要

この神社は元々、真言宗の象頭山松尾寺の別当である金光院によって営まれたもので、金毘羅大権現を祀っており、当初の本尊は十一面観音でした。しかし、金毘羅大権現が隆盛を迎えるにつれ、金光院が山全体を支配することになりました。象頭山という名称は、寺院が象の頭に見える形状から来ており、また、インドの聖地とも関連付けられています。

神仏分離令の実施により、金毘羅権現の奉斎は廃止され、大物主を主祭神とする神社に改変されました。金刀比羅宮は全国に600か所存在する金刀比羅神社や琴平神社の総本宮と位置付けられています。

この神社は特に海に関連する職業、漁師や船員の間で深い信仰を受けています。海上交通の守護神として崇められ、戦前の大日本帝国海軍や戦後の掃海隊の慰霊祭もこの神社で行われています。境内の絵馬殿には多くの絵馬が奉納され、航海の安全が祈願されています。金毘羅講という信者団体が古くから存在し、参道には歴史を感じさせる燈篭が多く残っています。

長い石段を1368段踏破すると、奥社まで到達します。毎年開催される「こんぴら石段マラソン」はこの石段を利用したイベントです。

祭神

金刀比羅宮の主祭神は大物主命と崇徳天皇です。金刀比羅宮に関する由緒には複数の説がありますが、古くは神と仏が習合した形で金毘羅大権現が祀られていました。また、保元元年に讃岐国に流された崇徳上皇がこの宮を訪れ、彼が崇敬されるようになったことが、神社の由緒の一つとされています。

歴史

1573年に松尾寺金光院の院主が金毘羅堂を設立したのがこの神社の始まりとされ、1584年には長宗我部元親がこの神社に寄進を行いました。1642年には高松藩主によって社領が寄進され、神社は発展を続けました。江戸時代には金毘羅信仰が大衆に広まり、「金毘羅参り」が多くの人々に人気を博しました。

明治時代には神仏分離の影響を受け、金刀比羅宮は神道の神社へと改称され、その後も信仰を維持しました。近年では、金刀比羅宮自体が独立した宗教法人となり、その文化的価値が高められています。

現代の信仰

金刀比羅宮は現在も多くの信仰を集めており、「若者の信仰メッカ」としての側面も持っています。特に「流し樽」という風習が、海上交通の守護を願う海事関係者の間で今も続いており、近代においてもその信仰は衰えることなく継承されています。

交通とアクセス

金刀比羅宮へのアクセスは、琴平駅や琴電琴平駅から徒歩圏内で、また自動車でもアクセス可能です。しかし、境内への車両の乗り入れは制限されているため、周辺の駐車場を利用する必要があります。神社は地域の観光名所としても知られており、毎日多くの参拝者が訪れています。

まとめ

金刀比羅宮は、日本の宗教文化と歴史を担う重要な神社で、海上交通の守護神として古くからの信仰を受け続けています。この神社は、日本の文化や伝説が凝縮されている場所であり、訪れることでその深い歴史を感じ取ることができるでしょう。

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