金剛山観光地区

北朝鮮の金剛山観光地区: 歴史と現状

金剛山観光地区は、朝鮮民主主義人民共和国（金剛山の位置は北緯38度41分17秒、東経128度12分01秒）にかつて存在した施設群で、2002年から2011年までの間、韓国人や外国人観光客に開放されていました。この特別行政区域は、観光振興を目的とした活動の中心地として位置づけられており、その運営や歴史には多くの興味深い側面があります。

金剛山観光地区の開放と発展

1998年11月、北朝鮮政府は金剛山の一部を韓国人及び外国人に開放しました。この動きは、北朝鮮における観光業の発展を図るものであり、当初は船を利用して観光客が訪れていたのですが、後に韓国側の資金で新たな道路が整備され、陸路でも観光客が金剛山を訪れることができるようになりました。

2002年には、観光地区周辺が一般の北朝鮮人が住む江原道から独立し、「観光地区」としての行政区画が設けられました。しかし、韓国人観光客が訪れるごとに、北朝鮮の住民は北朝鮮政府の規制により金剛山地区への立入が禁止されることとなり、観光業は厳重な管理のもとで運営されることになりました。

北朝鮮における観光政策の影響

この地区では、観光業の運営を担うのは一般の北朝鮮人ではありませんでした。実際には、中国の朝鮮族がホテルやサービス業に従事しており、これによって北朝鮮の一般市民と観光客との接触を制限する仕組みがかえって強化されていたのです。このような体制によって、外部の情報が地域に入り込むことはほとんどありませんでした。

観光客が訪れる中で、北朝鮮にとっての経済的利益も大きな要素となっていました。特に、2008年7月に発生した韓国人観光客射殺事件を受け、観光業は一時中断されましたが、それまでには累計で500万ドル以上の利益を北朝鮮にもたらしました。この資金は、体制維持や核・ミサイル開発のためにも活用されたと言われています。

金剛山国際観光特別区の設置

2011年4月、北朝鮮政府は金剛山国際観光特別区を設置し、これにより金剛山観光地区は正式に廃止されました。この新しい地域設定は、観光政策のさらなる改善を図るものとされ、いかにして北朝鮮の観光業を発展させるかという新たな試みとして注目を集めました。

まとめ

金剛山観光地区は、多くの観光客を受け入れる一方で、北朝鮮政府が情報統制を徹底する場でもありました。観光客の受け入れによって得られた利益が、国家の軍事政策や体制の維持に使用されるという背景には、観光業が持つ双方的な意義が見え隠れしています。今後の金剛山国際観光特別区の動向と、その観光政策が北朝鮮に与える影響は、引き続き注目されるでしょう。

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