金剛山国際観光特別区

金剛山国際観光特別区とは

金剛山国際観光特別区は、かつて朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）に存在した特別行政区域です。2011年4月29日に、北朝鮮の最高人民会議常任委員会が政令を発表し、従来の「金剛山観光地区」を改編する形で設置されました。

設置の背景と目的

この特別区設立の背景には、2002年に現代グループとの合意に基づいて設置された金剛山観光地区の存在がありました。当初の観光地区では、北朝鮮の主権が一定程度制限されていましたが、特別区では北朝鮮が主権を全面的に行使すること、また、外国の法人や個人による投資を奨励し、新たな観光地開発を進めることが目的とされました。

具体的には、資本、財産、企業経営による収入などが法的に保護され、観光開発を促進する狙いがありました。これにより、北朝鮮は外貨獲得と経済活性化を目指していたと考えられます。

組織の変遷

2019年9月頃には、金剛山観光を管轄していた金剛山国際観光特別区指導局が金剛山国際観光局へ改編されました。これは、北朝鮮が金剛山観光に対する方針を転換したことを示唆しています。

同年10月25日には、北朝鮮は韓国と現代グループに対し、金剛山に国際観光文化地区を設立する意向を通知しました。この頃から、地区内に韓国が建設した観光施設を一方的に撤去し、北朝鮮主導の金剛山観光事業を推進していると報道されました。これは、南北関係の変化と北朝鮮の独自路線への傾斜を象徴する出来事と言えるでしょう。

特別区の廃止

2024年1月16日、金正恩総書記は最高人民会議の施政演説において、金剛山国際観光局の廃止を宣言しました。これにより、金剛山国際観光特別区は名実ともにその歴史を終えることとなりました。

金剛山国際観光特別区の歴史的意義

金剛山国際観光特別区は、北朝鮮が外資導入と観光振興を通じて経済発展を目指した試みの一つとして位置づけられます。しかし、その過程で、南北関係の変化や北朝鮮の政策転換の影響を受け、最終的には廃止されることとなりました。

この特別区の設立から廃止までの経緯は、北朝鮮の経済政策や対外関係、そして南北関係の複雑さを物語るものとして、注目に値します。

関連情報

• - 金剛山 (朝鮮): 金剛山国際観光特別区の所在地であり、観光資源としての役割が重要でした。
• - 金剛山国際観光特区法: 特別区の運営や投資に関する詳細を定めた法律です。

参考資料

“北朝鮮、金剛山に国際観光特区の設置を発表”. サーチナ. (2011年4月30日). https://web.archive.org/web/20130926190920/http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0430&f=politics_0430_001.shtml 2011年6月17日閲覧。
金剛山国際観光特区法

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