金剛巌 (2世)

二世金剛巌：金剛流能楽の継承者

二世金剛巌（1924年～1998年）は、日本の伝統芸能である能楽界において、金剛流を代表する重要な人物の一人です。京都に生まれ、幼少期から父である初代金剛巌に師事し、能楽の基礎を徹底的に学びました。

彼は、金剛流の宗家として、伝統を受け継ぎ、発展させる役割を担いました。しかし、その道は容易ではありませんでした。兄弟である長男と次男を相次いで亡くすという悲劇に見舞われながらも、彼は揺らぐことなく、金剛流の伝統を守り続けました。

宗家として、彼は後継者の育成にも力を注ぎました。その指導は厳しくも温かく、多くの弟子たちが彼の教えを受け、現在も能楽界で活躍しています。彼の指導の下で育った一人に、二十六世金剛流宗家である金剛永謹がおり、その孫である金剛龍謹もまた、能楽師として活動しています。これは、金剛流の伝統がしっかりと受け継がれている証と言えるでしょう。

彼の芸術的な才能は高く評価されており、1991年には紫綬褒章を受章しています。これは、彼の能楽に対する貢献が、国家レベルで認められたことを意味します。彼の演じる能楽は、伝統を守りながらも、独自の解釈を加えたもので、観客を魅了しました。

彼の功績は、舞台芸術としての活動だけにとどまりません。後世に残る数々の作品も残しています。代表的なものとしては、没後に出版された『我忘吾』が挙げられます。この著作は、彼自身の能楽人生を振り返り、その経験や考えを綴ったものであり、能楽を理解する上で貴重な資料となっています。また、CD『金剛流祝言小謡集』では、金剛永謹との共演を通して、金剛流の音楽の魅力を伝えています。さらに、DVD『能楽名演集「仕舞一調舞囃子集」』では、彼の卓越した舞囃子の技を見ることができます。これらの作品を通して、私たちは彼の芸術への情熱と才能に触れることができます。

二世金剛巌は、厳しい試練を乗り越えながら、金剛流の伝統を守り、発展させました。彼の功績は、能楽界のみならず、日本の伝統芸能全体に大きな影響を与え続けています。彼の死後も、その名は能楽史に永遠に刻まれることでしょう。

関連事項

金剛謹之輔
金剛永謹

外部リンク

* 金剛能楽堂

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