金原亭馬生 (初代)

初代金原亭馬生（きんげんてい ばしょう）は、江戸時代後期に活躍した落語家です。俗称を銀次郎といい、家猿や牡丹といった号も用いました。生没年は不詳ですが、1838年8月26日に亡くなったとされています。

実弟は歌舞伎役者として知られる四代目坂東三津五郎で、兄弟そろって芸能の道で名を馳せました。初代金原亭馬生は、初代三遊亭圓生に入門し、当初は三遊亭圓遊を名乗っていましたが、後に初代金原亭馬生を襲名しました。

初代金原亭馬生の大きな功績の一つとして、道具入りの芝居仕立ての落語、いわゆる「芝居掛続物」を創始したことが挙げられます。これにより、落語の世界に新たな表現形式が生まれ、観客を大いに楽しませました。また、弟の四代目坂東三津五郎や二代目關三十郎の物真似を得意とし、その高い技術とユーモラスな表現は多くの人々を魅了しました。

天保時代には、大名屋敷に招かれて余興として落語家による芝居を上演しており、これが後の鹿芝居のルーツになったとも言われています。落語という枠にとらわれず、演劇的な要素を取り入れた初代金原亭馬生の試みは、当時の芸能界に大きな影響を与えました。

初代金原亭馬生の門下からは、数多くの優れた落語家が輩出されました。彼らの流派は「馬派」と呼ばれ、その名を世に知らしめました。主な弟子としては、二代目金原亭馬生を継いだ初代五明楼玉輔、二代目鈴々舎馬風、初代隅田川馬石、初代小金屋馬之助（後に歌舞伎役者に転向）、二代目馬之助、初代蝶花楼馬楽、馬好、初代浅草亭馬道、山亭馬久二などが挙げられます。これらの弟子たちは、初代金原亭馬生の教えを受け継ぎ、それぞれの個性と才能を生かして落語界を盛り立てました。

初代金原亭馬生は、落語の歴史において重要な役割を果たした人物であり、彼の創り出した芸は、現代の落語にも深く影響を与えています。その革新的な試みと卓越した技術は、今もなお多くの人々から尊敬を集めています。

もう一度検索