金原亭馬生 (3代目)

三代目金原亭馬生（生没年不詳、1873年9月15日没）は、幕末から明治初期にかけて活躍した落語家です。本名は福山半兵衛といい、「馬吉の馬生」という通称で親しまれていました。その生涯は、落語界における重要な転換期と重なり、彼の芸は多くの人々に愛されました。

江戸の下谷広小路にある駕籠茶屋の出身であったと伝えられています。初代金原亭馬生に師事し、当初は馬吉を名乗りました。その後、馬若と改名。さらに、馬吉を名乗る前に宇治川馬黒と称していたという説や、馬吉と馬若の間に馬黒を名乗っていたという説も存在します。

1844年頃、兄弟子にあたる二代目金原亭馬生が二代目立川焉馬一門に移籍し、立川玉輔と改名したため、金原亭馬生の名跡が空きました。この時、馬若が三代目金原亭馬生を襲名することになりました。この襲名は、彼の落語家としてのキャリアにおいて大きな転換点となり、その後の活躍を決定づける出来事となりました。

三代目金原亭馬生は、道具を使った芝居噺や人情噺を得意としていました。また、舞台で宙乗りを披露するなど、当時の落語家としては珍しい演出も行っていました。彼の演目の中でも特に有名なのは、歌舞伎の名作『蔦紅葉宇都宮峠』を怪談仕立てにしたものです。これにより、彼は観客を魅了し、その名を広く知らしめました。彼の独創的な演出と語り口は、多くの人々を惹きつけました。

彼の門下からは、多くの優れた落語家が輩出されました。主な弟子には、三代目五明楼玉輔、四代目金原亭馬生、三代目鈴々舎馬風、二代目桃月庵白酒、金原亭馬若、初代金原亭馬玉、初代金原亭馬きんなどがいます。これらの弟子たちは、三代目金原亭馬生の芸風を受け継ぎ、さらに発展させ、その後の落語界を支える存在となりました。

三代目金原亭馬生の生涯は、資料が乏しく不明な点も多いですが、その卓越した芸と個性的な演出は、後世の落語家に大きな影響を与えたと言えるでしょう。彼の名前は、落語史において重要な位置を占め、多くの人々に語り継がれています。

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