金城基泰

金城 基泰（かねしろ もとやす）

金城基泰は、1952年10月16日に大阪府で生まれた元プロ野球選手で、主に投手として活躍しました。在日朝鮮人として生まれた彼は、後に日本籍を取得し、プロ野球界でその名を刻みました。日本プロ野球（NPB）と韓国プロ野球（KBO）の両方でプレーし、彼の本名である金 基泰（キム・ギテ）でも知られています。

経歴の始まり

金城は、1970年の秋に此花商業高校を卒業し、法政大学への進学が内定していました。しかし、広島東洋カープのスカウトに熱心に誘われた結果、彼はドラフト5位で広島に入団しました。金城は後に「本当は法政大に進学するつもりだった」と語っています。

彼はアンダースロー投手として知られ、1972年には一軍に定着しました。1973年には10勝6敗を記録し、リーグ8位の防御率2.54に達するなど、その才能を大いに発揮しました。1974年には最多勝利と最多奪三振の二冠を獲得しましたが、チームは最下位という悲劇的な状況でした。この年の最多勝利獲得は、歴史的な出来事として記憶されています。

事故と復帰

1974年のオフ、金城は交通事故に遭遇し、顔面に大きな怪我を負いました。左目はほとんど見えない状態になり、一時は選手生命が危ぶまれました。しかし、彼は持ち前の努力と意志の強さで復帰を果たしました。特に印象的なのは、1975年に登板16試合で1勝4セーブを記録し、広島の初優勝に貢献したことです。

1976年には成績が振るわず、中日から南海ホークスに移籍。移籍後の1977年には先発投手として活躍し、10勝を挙げるなど再び存在感を示しました。その後も南海での活躍が続き、特に2年連続で最優秀救援投手に選ばれるなど、彼の方は日本プロ野球史上に名を刻みました。

韓国プロ野球への移行

1985年に日本でのキャリアを終えた後、金城は韓国プロ野球の青宝ピントゥスに所属します。ここでも彼は意欲的にプレーし、42試合に登板して9勝5セーブを記録しましたが、期待には応えられませんでした。1987年には三星ライオンズに移籍し、さらなる活躍を遂げ、同年の韓国シリーズにも出場しますが、その年に現役を引退しました。

引退後の人生

引退後、金城は大阪でそば屋を営み、その後は韓国で関連会社の管理を担当しました。2020年時点で彼は大阪で少年野球の指導者として、若い選手に技術を伝えています。

投手としてのスタイル

金城は独特な投球フォームで知られ、アンダースローとして攻撃的なスタイルを持っていました。その投球は多くのファンに愛され、韓国でもその華麗なフォームは称賛されました。彼は生涯を通じて変化球をほとんど投げず、むしろ威力のある直球で押すスタイルであったため、その姿勢は評価されています。

人物と影響

金城は同じ在日朝鮮人ながら、特に友人である新井宏昌との親交を大切にしていました。一方で、韓国では野球界の発展に不満を持ち、自らもプロ意識の向上に寄与しようとしました。彼がもたらした影響は、当時の選手たちにも刺激を与え、韓国のプロ野球に新たな風を吹き込みました。

引退後も彼の存在は多くの人々に記憶され続けており、野球界への貢献は今なお評価されています。

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