金城山丸

金城山丸について

金城山丸（きんじょうさんまる）は、商船三井に属する三井物産船舶部が運航していた貨物船です。この船は金城山丸級の第一号で、同型船には金峰山丸があります。1936年に建造され、横浜～大連間の直航便として運航されました。この船は特に横浜での航海ごとにほぼ満船となるほどの人気を博し、効率的な輸送を実現しました。

航路と設計の背景

背景には1932年に満州国が建国された際、荷動きが活発化し、他の船会社も多数参入したため、三井物産の大連航路は厳しい競争に直面しました。そこで、同社はこれまでの航路とは異なり、より直接的な横浜～大連間の航路を設定し、金城山丸を新造することに決定しました。新造船はレシプロ機関を搭載し、エータヴェルケン式の排気ターボ・コンプレッサーも装備され、燃料効率を向上させる工夫が施されました。

太平洋戦争前の運航

金城山丸は1936年の引き渡し後、急航便として就航し、その後は特に高い運航成績を記録しました。しかし、1937年の中国における日中戦争が起こると、徴用による船腹の不足から台湾や南洋方面への不定期航路に転用されました。これによって、金城山丸は状況に応じた柔軟な運航が求められることとなりました。

軍艦への改装と沈没

1941年2月、金城山丸は海軍に徴用され、特設巡洋艦へと改装されました。主な任務は機雷の敷設であり、同年4月には特設巡洋艦「能代丸」や特設砲艦「長運丸」とともに東南太平洋海域で海上交通保護を行う第二海上護衛隊に編成されました。しかし、これらの艦は整備や艤装変更が必要だったため、出港までには時間がかかりました。

出港後、金城山丸はトラックへ航行中の1942年5月4日、アメリカの潜水艦「グリーンリング」からの攻撃を受け、沈没してしまいました。この時、23名が救助されることとなりました。

艦長の履歴

金城山丸の艦長は、1941年3月から8月にかけて園田昇大佐が、同年8月から1942年5月にかけて藤堂功予備海軍大佐が指揮を執りました。藤堂艦長は任務中に戦死し、戦後に海軍少将に特進されました。

参考文献

この情報は、海軍歴史保存会や海人社、船舶技術協会、さらには防衛研修所の戦史室による資料から得られたもので、商船三井の歴史の一部でもあります。

金城山丸は日本の貨物船の歴史の中で重要な役割を果たし、戦争という厳しい状況の中で活動を余儀なくされた点が印象的です。

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