金塊争奪

映画『金塊争奪』について

『金塊争奪』は、1932年にアメリカで制作された西部劇映画で、マック・V・ライトが監督を務め、スター俳優のジョン・ウェインが主演しています。この作品は、1928年に制作されたケン・メイナード主演の『爆撃乱闘』のリメイクであり、古典的なアメリカ西部劇のスタイルを受け継いでいます。この映画の背景には、当時の社会状況や映画制作倫理があり、特にハリウッドに映画制作倫理綱領（通称ヘイズ・コード）が導入される2年前に制作されたため、作品中には当時の社会通念が反映されています。

人種表現の問題

『金塊争奪』には、特に黒人キャラクターに対する人種差別的な表現が多く含まれています。クラレンスというキャラクターは、ハリー・ウッズが演じており、彼に対して他の登場人物から非情な呼称が使われています。具体的には、「ダーキー」や「サンボ」といった言葉が用いられ、また、「スイカのアクセント」という表現も見受けられます。ジョン・ウェイン演じる主人公メースンがクラレンスを「ボーイ」と呼ぶシーンがあるなど、これらの描写は、今となっては難しい問題を含んでいます。

物語の舞台

物語は、ジョン・メースンとジャネット・カーターという二人のキャラクターが中心となります。二人はそれぞれの父親からの手紙を受けて、廃坑となった金鉱山、サリー・アン鉱山に向かいます。ここは、彼らの父親がかつて共同で開発していた鉱山であり、遺された権利書を巡る争いが物語の中心となります。二人は鉱山に着くものの、彼らの前に現れるのが悪党ジョー・ライアンです。彼の父親が不法に金鉱の権利書を奪ったことで、物語はその他の登場人物や隠された謎に展開していきます。

幽霊の仕業

金鉱山には、亡霊が関与しているとされる現象が次々と起こるため、ジョンとジャネットは権利書を取り戻すために様々な困難に直面します。この作品は、サスペンスや冒険が織り交ぜられており、視聴者にスリリングな体験を提供します。また、当時の映画特有の映像美や演技が魅力の一つとなっています。

キャスト

本作には、ジョン・ウェインをはじめ、シーラ・テリー（ジャネット・カーター役）、ハリー・ウッズ（ジョー・ライアン役）などが出演しています。特にジョン・ウェインの演技は彼のキャリアにおいて重要な役割を果たし、彼の名声を築く一助となりました。その他にも、アーヴィル・アルダーソンやブルー・ワシントンといったキャストも揃っており、彼らのパフォーマンスが作品に深みを与えています。

映画の影響

『金塊争奪』は、その制作背景から見ても時代を映し出す興味深い作品です。特に人種に関する表現は、今日の視点で見ると問題を多く抱えているため、鑑賞する際にはその点についても考慮が必要です。西部劇としての性格を持ちつつも、時代の移り変わりとともに様々な見解を持たせる作品であり、映画史における一つの重要な存在となっています。

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