金塚孝

金塚 孝（かなつか たかし）

大正から昭和時代にかけて、実業界と政界の双方で活動した金塚孝氏は、1902年（明治35年）8月5日にこの世に生を受けました。郷里は茨城県新治郡真鍋町で、現在の土浦市真鍋にあたる土地です。

若き日は地元の学び舎で過ごし、1919年（大正8年）には茨城県立土浦中学校（現在の茨城県立土浦第一高等学校）の課程を修了しました。

学業を終えた後、金塚氏は実業界へと進みます。酒造業を営む日神酒造の社長を務めたほか、ニッシン興業の社長、湖南通運の専務取締役、そしてアサヒ産業の社長など、多岐にわたる企業の経営に携わりました。特に、地域経済の要である土浦商工会議所では会頭という重責を担い、地元産業の振興と発展に尽力しました。これらの経験は、後に彼が政治の道を志す上での大きな基盤となったと言えるでしょう。

実業界での確かな実績を背景に、金塚氏は戦後間もない激動の時代に政治の世界へと足を踏み入れます。1947年（昭和22年）、彼は茨城県議会議員選挙に立候補し、見事に当選を果たしました。県議会では民主党の一員として県政に携わり、同党の茨城県支部総務という党務の要職も担います。しかし、県議としての任期を全うすることなく、1948年（昭和23年）にはその職を辞し、国政への挑戦を決意しました。

翌1949年（昭和24年）1月に実施された第24回衆議院議員総選挙において、金塚氏は茨城県第3区より民主党公認候補として出馬しました。激戦を勝ち抜き、衆議院議員として初めての議席を獲得します。国会議員としての一期を務める中で、所属政党は民主党から改進党へと変わりました。院内では、民主党の代議士会副会長を務めるなど、党務や議院運営にも関与しました。国の復興という重要な時期に、一議員としてその責務を果たそうと努めました。

衆議院議員としての活動を終えた後も、金塚氏は政治との繋がりを保ちました。自由民主党が結成された後には、同党の茨城県連顧問という立場で後進の指導や党勢の拡大に協力しました。1973年（昭和48年）10月20日、71年の生涯に幕を閉じました。

その人生は、実業家として地域経済を支え、また政治家として郷土の発展と国の再建に貢献しようとした軌跡であり、大正から昭和にかけての混乱と復興の時代を生き抜いた一人物の記録として刻まれています。

【参考文献】

• - 茨城県議会史編さん委員会編『茨城県議会史 資料編』茨城県議会、1979年。
• - 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
• - 『国政選挙総覧 1947-2016』日外アソシエーツ、2017年。

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