金奉行

金奉行（かねぶぎょう）

金奉行は、江戸幕府において金庫の管理を担当する職名で、江戸と大坂の2つの主要な拠点が存在しました。この役職は、金銀の出納業務を効率的に取り仕切ることを目的として創設され、幕府の財政に重要な役割を果たしました。

江戸の金奉行

江戸の金奉行は、幕府金庫の出納経理を行い、初めは躑躅之間詰として設置されましたが、後に焼火之間詰へと変更されました。役職は元方と払方の2つに分かれ、それぞれ金銭の収納と支払いを担っていました。定員は直接的な業務を遂行する役人に対して4名から7名とされ、金銀出納奉行や諸国金銀奉行と呼ばれることもありました。

金奉行の創設は正保3年（1646年）の正月に始まり、歴史的には慶長18年（1613年）に杉原忠左衛門親俊が金銀出納の奉行に任じられたのが初見とされています。その後、元和4年（1618年）には松風権右衛門が金奉行に就任しました。元禄2年（1689年）にはこの役職が勘定奉行の支配を受け、役料も定められました。さらに享保18年（1733年）には役高が200俵に達し、その支給とともに金同心と呼ばれる職員が配属されていました。

金同心は役高30俵ごとに3人が扶持を受け取り、役員の指導の下で業務を行いました。文政3年（1820年）には元方と払方が一局に統合され、効率的な運営がなされるようになりました。

大坂の金奉行

一方、大坂における金奉行は、大坂定番の下で金蔵の管理と出納業務を行っていました。元文5年（1740年）には本役と仮役の定員がそれぞれ2名と定められ、配下には各15名の同心が配置されました。この役職における持高勤めは200俵高の者が担い、役料として80石の合力米が支給される仕組みがありました。大坂の金奉行は、寛永16年（1639年）に設置されたとされている記録がある一方で、寛永2年（1625年）にはすでに深津弥五衛門正吉と今村伝右衛門正信の2名がこの職に選ばれたという記述も見られます。

金奉行の役割は、幕府の財政を支える重要な要素であったため、江戸と大坂それぞれでの整然とした出納業務は政権運営に直接的な影響を与えるものでした。これにより、幕府の経済的安定が保たれるような仕組みが確立されていたのです。

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