金属量

金属量 (Metallicity)

金属量とは、天体に含まれる水素およびヘリウム以外の元素の割合を示す天文学用語です。特に、原子番号がヘリウムよりも大きい元素は「金属」または「重元素」と呼ばれます。この金属量は、天体が形成された時期を知る上での重要な指標となります。

宇宙の初期と金属量の変遷

ビッグバンモデルによると、宇宙の誕生直後にはほとんど水素原子しか存在していませんでした。その後、ビッグバン元素合成によりヘリウムとごくわずかのリチウムが生成されました。このため、初代星や種族IIIと呼ばれる最も古い恒星は、非常に低い金属量を持っています。

宇宙の進化が進むにつれて、恒星内部で生成された重元素が星の進化や超新星によって星間物質に還元されます。これに伴い、宇宙全体の重元素の量や恒星の金属量は徐々に増加します。新しく形成される恒星は、この重元素を豊富に含む星間物質から生まれるため、金属量が高いのです。

恒星の金属量の計算

恒星の金属量は、質量の中に占める水素とヘリウム以外の元素の割合として定義されます。具体的には、以下のような関係式が成り立ちます。

egin{equation}
X + Y + Z = 1
egin{align}
X &= ext{水素の質量比} \
Y &= ext{ヘリウムの質量比} \
Z &= ext{金属量}
egin{align}
egin{equation}

太陽の金属量は約1.34%となっており、具体的には次のようになります。
- X = 0.7381
- Y = 0.2485
- Z = 0.0134

また、太陽以外の恒星の金属量は、[Fe/H]という指標によって表現されます。これは、恒星中の鉄と水素の比率を太陽における比率と比較し、常用対数で示したものです。具体的には次のように計算されます：

egin{equation}
[Fe/H] = ext{log}rac{(Fe/H)_{ ext{star}}}{(Fe/H)_{ ext{Sun}}}
egin{align}
egin{equation}

ここで、[Fe/H]が0の星は金属量が太陽と同じであることを意味し、[Fe/H]が+1の場合、金属量は太陽の10倍であることを示します。若い種族Iの星は、古い種族IIの星に比べて金属量が高い傾向にあります。もし宇宙で最初に生まれた種族IIIの恒星が存在すれば、その金属量は非常に低く、[Fe/H]が-6.0以下と推定されていますが、現時点で確認されてはいません。

銀河系における金属量の分布

我々の銀河系では、金属量は中心部で高く、外周に行くにつれて低下します。これは、銀河中心部により多くの恒星が存在するため、恒星の進化に伴って生成された重元素が星間物質に還元され、新たな星として再形成されるからです。この原理は、大きな銀河と小さな銀河の金属量の違いにも反映されており、大きな銀河はより高い金属量を示す傾向にあります。例えば、大マゼラン雲の金属量は銀河系の約40%であり、小マゼラン雲は約10%です。

金属量は、宇宙の歴史や星の進化を理解するための重要な概念であります。

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