金山 (俳優)

金山（きんさん）について

基本情報

金山（きんさん）、本名趙黙（ちょうもく）、字は緘可（けんか）です。1911年8月9日に中国の江蘇省蘇州で生まれ、1982年7月7日に亡くなった彼は、中国における著名な俳優・舞台人です。彼は特にその美貌と演技力で多くのファンに愛され、「話劇皇帝」と称されました。

若き日と活動の始まり

金山は若い頃、上海で様々な俳優活動を始めました。彼は杜月笙の支援を受け、王瑩（おうえい）などの仲間と共に東方劇社で活躍しました。彼の評価は高く、当時の演劇界で確固たる地位を築いていきました。

1932年にはひそかに中国共産党に入党し、以降は中国左翼劇作家連盟などで活動しました。特に日中戦争の時期には、救国劇団を率いて抗日演劇の上演に力を入れ、国民の士気を高める重要な役割を果たしました。

映画スタジオ長春での活動

日中戦争後の1945年、金山は旧満州映画協会の長春スタジオの所長として両軍の争奪戦の中でスタジオの運営に携わりました。国民党と共産党の対立が続く中、金山は1947年に自ら監督を務めた映画『松花江上』を発表します。続いて第2作の『小白龍』に取り掛かりますが、1948年5月には長春包囲戦が発生し、製作が困難になりました。

この困難の中、彼は出演俳優やスタッフと共に北平（現在の北京）に脱出し、民国国営の映画スタジオを借りて映画『哈爾濱之夜』を完成させます。この映画は当時の混乱を乗り越えた象徴となりました。

中華人民共和国成立後

1949年に中華人民共和国が成立した後、金山は北京に留まり、中国青年芸術劇院の副院長および総監督に就任します。しかし、文化大革命の勃発により彼は7年間も投獄され、当時の妻であった孫維世は暗殺されるという悲劇に見舞われます。文革の終焉後、彼は名誉を回復し、中国文学芸術界連合会委員や全国政治協商会議委員を務めることになります。

江青との因縁

金山は舞台『賽金花』において、江青とヒロイン役を巡る争いを繰り広げます。江青はこの作品での活躍を夢見ていましたが、金山が王瑩たちと独自に開演したことで、彼女の演技が際立つことになります。これが後に金山とその妻、王瑩への弾圧に繋がることになります。

結婚遍歴

金山は演劇界の有名なプレイボーイとしても知られています。彼は王瑩との最初の結婚を始め、4回の結婚歴を持っています。彼の最初の妻は王瑩でしたが、性格の不一致で別れを持ちかけられます。次に張瑞芳と結婚しますが、孫維世との不倫が理由で離婚。孫維世とは1950年から1968年まで夫婦でしたが、文化大革命で彼女は命を失います。最後の結婚相手は、孫維世の妹である孫新世で、65歳で新しい門出を迎えました。

主な出演作

金山の代表作には、『昏狂』（1935年）、『夜半歌声』（1937年）、『貂蝉』（1938年）などがあります。また監督や脚本も手掛けた作品には、『松花江上』（1947年）、『十三陵水庫暢想曲』（1958年）があり、彼の多才さが伺えます。

彼の活動は中国の演劇や映画に多くの影響を与え、今なお多くの人々に記憶されています。

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