金岡祐一

金岡祐一

金岡祐一（かなおか ゆういち、1928年2月25日 - 2021年5月24日）は、日本の薬学者、実業家。学校法人富山国際学園の理事長、北海道大学名誉教授、テイカ製薬の代表取締役会長を歴任した。

生い立ちと学歴

1928年、富山県上新川郡新庄町（現在の富山市）で、3代目金岡又左衛門（元富山相互銀行社長）の長男として誕生。旧制富山高等学校を経て、東京大学薬学科に進学。富山高校時代の同級生には、中沖豊元富山県知事がいた。大学院時代には、姉の夫である金岡幸二の家で生活し、世話を受けた。

研究者としてのキャリア

文部省が国立大学薬学科を増設する方針を示した際、父の反対を押し切り、恩師の推薦を受け、新設された北海道大学医学部薬学科に赴任。当時の北海道大学は、旧帝国大学とはいえ研究環境は決して恵まれているとは言えず、その中で研究に励んだ。1959年3月には、東京大学で薬学博士号を取得。学位論文は「ロビンソン脱水素反応による含窒素縮合環化合物の合成」であった。

1959年から1961年には、アメリカ国立健康研究所に留学。帰国後は、共同研究を通じて生体内の重要基である「チオール」や神経伝達機構の解明に取り組んだ。その後、北海道大学薬学部長などを歴任し、教育・研究活動に貢献した。

実業家としてのキャリア

北海道大学を退官後、父が創設した富山女子短期大学（現・富山短期大学）の教授に就任。1993年には、義兄である金岡幸二の急逝を受け、第一薬品、テイカ製薬、富山国際学園の経営に携わることになった。第一薬品とテイカ製薬の合併、富山国際大学の学部再編など、経営者として多くの課題に取り組んだ。

実弟には、富山第一銀行の代表取締役会長を務める金岡純二がいる。

死去と追贈

2021年5月24日、93歳で死去。その功績を称え、死没日をもって正四位に叙された。

略歴

旧制富山高等学校卒業
1950年：東京大学医学部薬学科卒業
1954年：東京大学大学院修了、同大助手
1956年：北海道大学医学部薬学科講師
1957年：同大同学部助教授
1966年：同大薬学部教授
1987年：同大薬学部長
1990年：北海道大学触媒化学研究センター長
1991年：北海道大学定年退官、富山女子短期大学教授
1993年：富山女子短期大学学長兼富山国際学園理事長
2001年：富山国際大学学長、第一薬品社長、テイカ製薬会長
2009年：テイカ製薬代表取締役会長

栄典

日本薬学会賞（1980年）
千年紀薬学者賞（2000年）
瑞宝中綬章（2016年）

著書

『生殖医療と生命倫理 - 不妊の悩み、科学者たちの提言』（共著）日本学術研究財団（1999年）
『メディシナルケミストリー』（共著）講談社（1998年）

外部リンク

学校法人富山国際学園
テイカ製薬

参考文献

『越中人の系譜 わが半生の記』 北日本新聞編集局（2007年）

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