金峯神社(きんぷじんじゃ)
新潟県長岡市に鎮座する金峯神社は、かつて
蔵王権現と呼ばれ、地域では「蔵王さま」として親しまれてきた神社です。旧
社格は県社であり、その歴史は古く、人々の信仰を集めてきました。
祭神
主祭神は金山彦命(かなやまひこのみこと)です。相殿には、又倉神社などが祀られています。かつて
蔵王権現として祀られる以前は、この地は又倉村と呼ばれ、産土神として又倉神社が祀られていました。現在も行われている王神祭は、又倉神社の祭礼に由来します。
歴史
金峯神社の創建は、
和銅2年(709年)に
元明天皇の勅願により、
大和国吉野山の
蔵王権現を分霊し、北国鎮護のため古志郡楡原に創建されたと伝えられています。当時、修験者である秋葉三尺坊をはじめ、多くの僧侶や山伏が集まり、大きな勢力を持っていたといいます。秋葉三尺坊は、後に信州戸隠を経て遠州へ渡り、一大修験勢力を築きましたが、戦に敗れて三島郡矢田の地に隠遁し、
仁治3年(1242年)に現在の又倉村の地へ遷座しました。信濃川の河川交通の要所であったこの地には門前町が形成され、軍事的な拠点である蔵王堂城も築かれ、長岡の町の基礎が築かれました。この地が河川沿いの長い丘状に発展したことが、長岡という地名の由来になったという説もあります。
しかしながら、『
長岡市史』によれば、楡原からの遷座年は不詳で、大島荘川崎郷保倉村に移転し、その際に村名が蔵王村に改称されたとされています。
南北朝時代には、この地を巡って激しい戦いが繰り広げられましたが、当時すでに越後国を代表する霊場として広く知られていました。蔵王堂城主であった堀直竒は、信濃川による浸食の危険性があったこの地から、より安全な平方原に長岡城を築城しました。
江戸時代になると、
天海によって
別当寺であった安禅寺が
真言宗から
天台宗に改宗されました。元和年間に社殿が炎上し、古記録が焼失しましたが、
慶安2年(
1649年)には
徳川家光から朱印三百石が寄進されました。また、
越後長岡藩主の牧野家からは40石が寄進され、守護神として崇め、家督相続の際には必ず参拝したとされています。
明治維新を迎えると、神仏分離令により神祇と寺院が分離され、
別当寺であった安禅寺は廃寺となりました。蔵王堂は金峯神社と改名され、
新潟県最初の県社に列せられました。明治40年に再び社殿が炎上しましたが、
大正2年(
1913年)に再建されました。平成15年(2003年)には不審火により拝殿の一部が焼失、翌年には
新潟県中越地震によって本殿の基礎部分が被害を受けましたが、平成17年(2005年)に社殿の修復が完了しました。平成21年(2009年)には御創建千三百年祭が盛大に斎行されました。
祭礼
『
長岡市史』によると、旧暦6月15日には祭礼が行われ、流鏑馬と長岡町の
屋台が名物でした。しかし、
宝暦14年(
1764年)以降は、
屋台について
越後長岡藩からの統制を受けることとなりました。
現地情報
金峯神社は
長岡市街の北部に位置しています。
交通アクセス
公共交通機関を利用する場合は、
長岡駅大手口バスターミナル13番線から
越後交通の宝町行またはエコトピア寿行のバスに乗り、約10分で「蔵王」バス停で下車後、徒歩約3分で到着します。また、JR北
長岡駅からは西へ徒歩約15分でアクセスできます。
脚注
(注釈)
出典
参考文献
「長岡市史」(1931年、長岡市、丸田亀太郎ほか編集、今泉鐸次郎校訂、北越新報社)
鈴木照英 「蔵王六月大祭(上)」『
長岡市立博物館研究報告』23号、1988年
鈴木照英 「蔵王六月大祭(下)」『長岡市立博物館研究報告』24号、1989年
外部リンク
公式ウェブサイト
金峯神社 - 長岡市
にいがた観光ナビ:金峯神社 - 新潟県観光協会