金敬得

金 敬得（김경득、キム ギョンドゥク）

金敬得（1949年 - 2005年）は、和歌山県出身の在日韓国人弁護士であり、外国籍弁護士の先駆者として知られる重要な人物です。彼は、韓国にルーツを持ちながら、長い間日本で生活してきましたが、自己認識と社会的地位の変革に向けた努力を通じて多くの人権問題に取り組みました。

早期の経歴

金敬得は二男として和歌山市に生まれ、公立の教育機関で「金沢敬得」という通名で教育を受けていました。しかし、彼の在日韓国人としてのアイデンティティは、1972年に早稲田大学法学部を卒業する際に顕在化しました。朝日新聞社での就職を拒否された経験が、彼を自身のルーツに目を向けさせ、本名を使用し始めるきっかけとなりました。その後、アルバイトをしながら法学の学習を続け、1976年に司法試験に最終合格しました。

司法試験と国籍条項撤廃運動

金は、日本の司法研修所に進むためには日本国籍が必要であることを知り、それに対抗するための運動を始めました。彼は6度にわたり最高裁判所に意見書を提出し続け、その結果として1977年3月に外国人初の司法修習生となることが認められました。この成果は、日本における外国人の法律資格に対する重要な前進をもたらしました。

弁護士としての活動

1979年に第二東京弁護士会に登録後、金敬得は東京都新宿区でウリ法律事務所を開設し、弁護士としてのキャリアをスタートさせました。彼の活動は多岐にわたり、指紋押捺拒否事件や慰安婦問題など、在日韓国人の権利擁護に注力しました。また、学者としても新潟大学法学部、一橋大学法学部及び社会学部などで非常勤講師を務めるなど、次世代の育成にも力を注ぎました。

国際的な貢献

金敬得は「定住外国人の地方参政権を実現させる日・韓・在日ネットワーク」の代表を務め、国内外での活動を通じて在日韓国人の権利向上に努めました。さらに、彼は韓国のソウル地方弁護士会から名誉会員に迎えられ、国際的にも広く認識される存在となりました。

著作と影響

彼の著作には『指紋制度撤廃への論理』や『在日コリアンのアイデンティティと法的地位』などがあり、在日韓国人の権利問題に対する深い理解と洞察を提供しています。これらの著作は、在日韓国人の歴史的背景や法的地位に関する重要な資料とされています。

最期の時

金敬得は東京で胃癌により2005年に死去しました。彼の死は、在日韓国人の権利拡張に尽力した先駆者を失うこととなり、その著作や活動は今もなお多くの人々に影響を与えています。彼の人生は、在日韓国人としてのアイデンティティを確立し、法的地位を改善するために尽力した勇気ある戦士の物語です。

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