金日成・金正日主義研究

『金日成・金正日主義研究』は、金日成・金正日主義研究会が発行する季刊理論誌です。1977年に「キムイルソン主義研究」として創刊され、金正日総書記の逝去後、現在の誌名に変更されました。この雑誌は、北朝鮮の主体思想（チュチェ思想）を研究する上で重要な役割を果たしており、年4回（1月、4月、7月、10月）発行されています。2019年9月時点で169号を数え、長年にわたり継続的に刊行されています。

概要と歴史

この雑誌の大きな特徴として、金正日亡き後、新たに朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者となった金正恩のメッセージが毎号掲載されている点が挙げられます。これにより、北朝鮮の最新動向や指導者の考えを直接知ることができます。また、チュチェ思想に関する研究記事が多数掲載されており、その理論的側面や実践的な応用について深く掘り下げた分析が行われています。

日本におけるこの雑誌の母体となったのは、群馬大学医学部で活動していた尾上健一が創設した「群馬朝鮮問題研究会」です。尾上氏は、群馬ハンセン病訴訟をきっかけにチュチェ思想に触れ、その普及活動を全国に展開しました。この活動が発展し、現在の金日成・金正日主義研究会が設立されました。

著名な寄稿者・インタビュー

この雑誌には、様々な分野の著名人が寄稿やインタビューを通じて参加しています。以下に、その一部を紹介します。

尾上健一: 144号で「金正恩第一書記の思想と指導に学んだ1年」と題し、金正恩第一書記の思想を指針として、日本社会の変革を訴えています。
鎌倉孝夫: 138号では「資本主義の本質と社会の存立・発展の基礎」と題し、チュチェ思想の視点からマルクスの『資本論』を読み解き、現代の新自由主義を批判しています。
佐久川政一: 153号では「基地移設反対は県民の意思」と題し、沖縄の基地問題に焦点を当て、辺野古新基地建設反対や沖縄の自主性について論じています。
平良研一: 154号では「民意にそって平和な沖縄を」と題し、米軍による沖縄大空襲や安倍政権の政策を批判し、平和な沖縄の実現を訴えています。
デヴィ・スカルノ: 141号では「人民から慕われる指導者」と題し、スカルノ大統領と共に金日成主席・金正日総書記に会見した際の逸話や、自身の平壌訪問について語っています。
武者小路公秀: 149号では「日本の自主と東アジアの平和」と題し、『金正恩著作集』を踏まえ、朝鮮と日本の自主平和や反植民地主義、反覇権主義の重要性を説いています。

これらの寄稿者たちは、それぞれの専門分野や経験に基づいて、北朝鮮の思想や政策、さらには日本国内の社会問題に対する独自の視点を提供しています。

流通について

『金日成・金正日主義研究』は、商業流通経路に乗らないため、通常の書店では入手困難です。主に、模索舎のようなミニコミ誌を扱う書店や、公式サイトの通販を通じて購入することができます。この流通形態は、この雑誌が持つ独自性と専門性を反映していると言えるでしょう。

外部リンク

* 朝鮮民主主義人民共和国を正しく知るために（公式サイト）

『金日成・金正日主義研究』は、主体思想を深く理解するための重要な資料であり、北朝鮮研究者や関心を持つ人々にとって必読の雑誌です。また、日本国内の社会問題に対する独自の視点も提供しており、幅広い読者にとって価値のある情報源となっています。

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