金東仁

金 東仁：朝鮮文学の先駆者

金 東仁（きん とうじん、1900年10月2日 - 1951年1月5日）は、朝鮮の小説家として自然主義や歴史小説を主に手がけた作家である。彼の作品はその独特な文体で知られ、従来の文学とは一線を画すものが多い。彼は本貫が全州金氏であり、号は琴童または春士と称した。政治家で元国会副議長を務めた金東元は、彼の腹違いの兄である。

生い立ちと教育

金東仁は平壌の上需里で生まれ、父の金大潤は大地主であった。彼の父は熱心なキリスト教徒であり、家庭環境は教育重視だったとされる。1914年、彼は日本へ渡り、東京学院中学部に入学したが、同校の閉鎖により明治学院中学部に編入することになった。この東京で金東仁は探偵小説や夏目漱石、有島武郎、谷崎潤一郎といった作家の影響を受け続けた。

作家としての活動

金東仁は17歳で結婚し、1919年には韓国では初の同人誌『創造』を発刊するなど、文学界において存在感を示し始める。しかし、金は私生活での波乱に見舞われることになる。女遊びに耽る中で『馬鈴薯』や『明文』といった名作を次々と発表し、その才能を世に広げていくが、事業の失敗と妻の家出が彼を苦しめ、精神的にも身体的にも追い込まれていく。

再婚後も不眠症に悩まされ、薬の副作用により健康状態は悪化した。第二次世界大戦後の自由な朝鮮を迎えた際には、一時的に回復するが、持病やストレスによって虚弱な状態が続き、1951年に朝鮮戦争の混乱の中で生涯を閉じる。

文学スタイルと影響

金東仁の文学スタイルは、彼の主観を排除し客観性を追求することによって特徴付けられる。このアプローチは、彼の作品を洗練されたものにし、同時代の作家である李光洙の作品とは一線を画すものである。彼は常に新しい表現を追求し、文学の発展に貢献した。

死後の評価と遺産

金東仁は生前は評価されることもあったが、死後には親日反民族行為者として認定されるなど、その評価は変化した。彼の作品は今日でも読み継がれており、朝鮮文学の発展に寄与したことは疑いない。

主要作品と年譜

金東仁の著作には、小説・評論ともに多岐にわたるが、特に短編や中編小説が多くを占めている。主な作品としては『馬鈴薯』『明文』『遺書』『精神の病』等があり、長編では『雲峴宮の春』や『帝星台』なども存在する。彼の影響は現代の韓国文学にも及んでおり、彼のスタイルを受け継ぐ作家が後に続いている。金東仁の文学は朝鮮国内外で評価されるべく、今後も再評価され続けることであろう。

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