金正哲

金正哲：北朝鮮最高指導者の影に隠された人物像

金正哲（キム・ジョンチョル）は、北朝鮮の故金正日総書記の次男として1980年または1981年9月25日に誕生しました。母は在日朝鮮人二世の高英姫です。弟には北朝鮮の最高指導者である金正恩、妹には金与正がいます。異母兄には金正男がいます。

スイス留学と謎めいた帰国

1996年頃、金正哲は「パク・チョル」という偽名でスイスのインターナショナルスクールに留学していました。バスケットボールを愛好していたという証言が残されていますが、1998年に突如帰国し、その後の消息はしばらく不明でした。

軍事教育と後継者候補説

2007年には金日成軍事大学で軍事学を修め、金正日の軍視察に同行していたと報じられています。金正日の死去後、後継者問題が注目を集める中で、金正哲も後継者候補として名前が挙がりました。これは、金正日の後継が世襲されるとの予測に基づくものでした。母である高英姫の強い影響力や、金正哲を後押しする勢力の存在などが後継者説を後押しする要因となりました。しかし、実際には金正恩が後継者として指名されました。

後継者争いとその転機

金正哲が後継者争いから脱落した原因として、2006年のドイツ旅行が取り沙汰されています。この旅行中、彼はエリック・クラプトンのコンサートに全日程参加するなど、音楽への情熱を露わにしました。この出来事が、彼の政治的野心を削ぎ、後継者としての地位を危うくしたという見方があります。

金正恩体制下での活動

金正日死去後、金正哲の動向は不明瞭でしたが、2013年には北朝鮮最高幹部の子弟グループ「烽火組」のトップに就任したと報じられました。また、2020年頃からは朝鮮労働党の要職に就いているとされています。具体的には、中央党組織指導部内に新設された行政指導課長を務め、党中央委員会候補委員にも選出されています。

ギタリストとしての側面

元駐英北朝鮮公使の太永浩氏は、金正哲は政治には関心がなく、優れたギタリストであると証言しています。エリック・クラプトンへの深い愛情は広く知られており、数々のコンサートに訪れた様子は、韓国のメディアにも報じられました。

エリック・クラプトンへの熱狂

金正哲のドイツ旅行では、エリック・クラプトンのコンサートに全日程参加したことが明らかになり、彼の音楽への並々ならぬ熱意が世界中に知れ渡りました。さらに、平壌でのクラプトンの公演開催を韓国側に打診したことも伝えられています。しかし、クラプトン側の意向により実現には至りませんでした。シンガポールでのクラプトン公演への来場や、ロンドン公演への参加も確認されており、彼の音楽への情熱は並々ならないものでした。

父からの評価と人物像

金正日は金正哲について「彼は女の子みたい」と評したと伝えられています。これは、彼の穏やかで繊細な性格を示唆していると考えられます。

結論

金正哲は、北朝鮮の最高指導者の血筋を持つ人物でありながら、政治の中枢から離れた生活を送っているように見えます。しかし、音楽への情熱や、近年明らかになった党内の要職就任など、彼の複雑な人生は、依然として謎に包まれています。彼の今後の動向に注目が集まります。

もう一度検索