金毘羅船々

金毘羅船々（こんぴらふねふね）

金毘羅船々は、香川県の伝統的な民謡であり、その歴史は深く、日本全国で広く知られています。この歌は観光地としても有名な金刀比羅宮へ向かう参拝の道中で唄われたことから、特に金毘羅参りの重要な位置を占めています。

歴史的背景

香川県仲多度郡琴平町を中心に広まったこの唄は、江戸時代から続くもので、金刀比羅宮は象頭山の中腹に位置し、多くの参拝客から親しまれました。金毘羅へは江戸期から参拝客がかけつけ、特に元禄時代には大阪港から唄われ始めたとも言われています。

金毘羅への船運が1744年から始まったことも、歌の普及に寄与しました。そのため、「金毘羅船々」は、参詣客を運ぶ「こんぴら船」を象徴するような存在なのです。この唄は、短くテンポが良いことから多様な場面で歌われ、特に遊郭の座敷唄として人気を持ちました。

座敷遊びとしての楽しみ方

金毘羅船々は、遊びとしても楽しむことができ、芸妓と客が対面して唄に合わせて手を動かす独特の遊び方があります。袴を介して手の動きを交互に行い、唄のリズムに合わせて行動することで、遊びの中に楽しさを加えています。この遊びは、手の形を間違えると負けとなるため、集中力とリズム感が求められるものです。

唄の内容と歌詞の魅力

この民謡の歌詞は「八八」の詩が繰り返される形で構成されており、特に有名な部分は「金毘羅船々　追手に帆かけて　シュラシュシュシュ」というフレーズです。これは、追い風を受けて船が進む様子を歌っています。讃州や那珂の郡などの地名が含まれ、地域性を感じさせることも特徴的です。歌詞の中で表れた詩的な要素が聴く人々の心に残ります。

現代における金毘羅船々

今日でも「金毘羅船々」は多くの人に親しまれており、JR四国では列車接近メロディに採用されています。また、丸亀競艇場では音楽としても利用され、幅広い世代にこの民謡が浸透しています。

NHKの『みんなのうた』では、1961年と1966年の2回にわたって放送され、地域を代表する曲としての地位を確立しました。これに関して、楽曲の編曲者や歌い手も変わる中、映像スタイルも多種多様であったことが特徴です。

評価と影響

音楽評論家の天野祐吉は、この曲について宗教的なCMソングとして高く評価しています。こうした幅広い認知と理解の中で、「金毘羅船々」は香川県だけでなく、日本の民謡の一端を担う重要な存在であり続けています。これからも多くの人々に親しまれることが期待される楽曲です。

もう一度検索