金沢高等工業学校

金沢高等工業学校：技術者育成の礎

金沢高等工業学校は、1921年から1951年まで存在した旧制の官立専門学校です。現在の金沢大学工学部の前身であり、日本の工業発展を支える多くの技術者を輩出しました。ここでは、その歴史、教育内容、そして現代へのつながりについて詳しく解説します。

学校の概要

金沢高等工業学校は、石川県金沢市に位置し、当初は修業年限3年の専門学校として、土木工学、機械工学、応用化学、化学機械、電気工学の各学科を設置していました。これらの学科は、当時の産業界のニーズに応えるべく、高度な専門知識と技術を学生に提供することを目指していました。

学校の敷地は、金沢市上野本町にあり、後に金沢大学小立野キャンパスとして利用されました。このキャンパスは、工学部が長らく使用していましたが、2005年までに角間キャンパスへ移転しました。その後、跡地は石川県立図書館や金沢美術工芸大学の移転先に利用され、その歴史を今に伝えています。

卒業生たちは「金沢工業会」という同窓会を結成し、学校の精神と伝統を継承しています。この同窓会は、金沢高等工業学校、金沢工業専門学校、そして金沢大学の一部（工学部、大学院工学研究科、理工学域、大学院自然科学研究科）へとつながる、重要な絆となっています。

沿革

金沢高等工業学校は、1920年12月に文部省直轄諸学校官制の改正によって設立が決定しました。その後の歩みは以下の通りです。

1921年
4月：土木工学科、機械工学科、応用化学科の3学科で授業を開始。所在地は石川郡崎浦村字上野新でした。
10月：別科を附設し、1年以内の修業年限で授業を開始。
1936年
4月：金沢市が崎浦村を編入したことにより、所在地が金沢市上野本町に変更。
1937年
8月：工業技術員養成科を臨時別科として設置、10月に授業開始。
1939年
5月：化学機械科と電気工学科を新設し、学科の多様化を進めました。
1943年
4月：工業教員養成所を附設し、後進の育成にも力を注ぎました。
1944年
4月：学校名を金沢工業専門学校に変更。学科も本科第一部（土木科、機械科、化学工業科、化学機械科、電気科）と本科第二部（機械科）に改編。
1945年
4月：本科第一部に電気通信科、本科第二部に土木科を新設。
1946年
4月：精密機械科を新設（1948年時点では機械科精密機械分科）。
1949年
5月：国立学校設置法により金沢大学が設置され、金沢工業専門学校は金沢大学に包括されました。各学科は土木工学科、機械工学科、工業化学科、化学機械学科、電気工学科、応用数学物理学教室として再編。
1951年
4月：金沢工業専門学校が廃止。
1954年
* 金沢大学工学部に工業教員養成課程が新設。

初代校長から受け継がれる精神

金沢高等工業学校の初代校長は、青戸信賢氏で、1920年12月から1940年3月まで務めました。彼は学校の創立に尽力し、基礎を築きました。二代校長は森慶三郎氏、三代校長は横山盛彰氏が務め、それぞれの時代で学校の発展に貢献しました。特に横山氏は、金沢大学工学部長も兼任し、学校と大学との連携を深めました。

まとめ

金沢高等工業学校は、日本の近代化を支えた技術者を育成した重要な教育機関でした。その教育理念と卒業生たちは、現在の金沢大学理工学域へと引き継がれ、その精神は今も息づいています。この学校の歴史は、日本の工業教育の発展を語る上で欠かせない一部であり、その遺産はこれからも大切にされるでしょう。

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