金泰錫

金泰錫（キム・テソク）の生涯：日本統治下の教育者から警察官僚へ

金泰錫（キム・テソク、日本名：金村泰錫、1882年11月23日～？）は、日本統治時代の朝鮮において、教育者、警察官僚、そして中枢院参議という要職を歴任した人物です。特に、独立運動家である姜宇奎（カン・ウギュ）を逮捕したことでその名を知られています。

生涯の初期

金泰錫は、平安南道（ピョンアンナムド）陽徳郡（ヤンドックン）で生まれました。1908年3月には官立漢城師範学校（ハンソンしはんがっこう）を卒業後、日本大学に留学し、見聞を広めました。帰国後は教育の道に進み、1910年5月に忠清南道（チュンチョンナムド）のフンジュ普通学校、そして1911年4月には平壌（ピョンヤン）公立普通学校で教師として教鞭をとりました。

日本統治下の活動

1912年9月、金泰錫は教職を離れ、咸鏡北道（ハムギョンプクド）で警察署の通訳生として警察の道に入ります。その後、着実に昇進を重ね、1920年8月には警視に昇進し、京畿道（キョンギド）警察部高等警察課で活動、京畿道警察部刑事課長を歴任しました。高等警察の職務においては、密偵を積極的に活用し、独立運動家らの分裂工作に深く関与したとされています。

1924年12月には、京畿道加平郡（カピョングン）の郡守に任命され、地方行政にも携わりました。1938年6月には、慶尚南道（キョンサンナムド）の産業部長を兼任し、同年7月には勲4等瑞宝章（ずいほうしょう）を受章しています。また、1935年に朝鮮総督府が編纂した『朝鮮功労者名鑑』には、朝鮮人功労者353名のうちの一人としてその名が刻まれました。

解放後

1945年8月15日の解放後、1945年11月3日に米軍政庁が発表した司令第29号により、金泰錫は朝鮮総督府中枢院参議の職を罷免されました。1948年には、親日派の処断を目的とした反民族行為処罰法が制定されると、日本への逃亡を試みましたが、1949年1月に反民特別委員会（反民特委）によって逮捕されました。反民特委の法廷では無期懲役の判決を受けましたが、1950年に反民特委が解散されると釈放され、その後の消息は不明です。

金泰錫の生涯は、日本統治下の朝鮮における複雑な社会状況と、その中で生きた人々の選択を浮き彫りにしています。教育者から警察官僚へ、そして親日協力者としての活動は、現代において様々な議論を呼んでいます。

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