金澤韻

金澤韻(かなざわ こだま)氏は、日本の現代美術界において活躍するキュレーターです。1973年生まれ。神奈川県出身で、上智大学文学部国文学科を卒業後、東京藝術大学大学院美術学研究科修士課程に進学。大学院時代は漫画を研究テーマとして選びました。

卒業後は、熊本市現代美術館、川崎市市民ミュージアムにて学芸員として勤務。長年に渡り、美術館における作品選定や展示企画、広報活動などに携わってきました。この間、多様なジャンルの企画展を手がけ、実践的な経験を積みました。

2015年には、英国王立芸術大学院大学(RCA)の現代美術キュレーティングコースを修了。国際的な視点を取り入れ、キュレーションのスキルをさらに高めました。その後、2017年4月から2020年3月まで、青森県十和田市現代美術館にて学芸統括として活躍。同美術館の展覧会企画や運営に中心的な役割を果たしました。

2013年には、増井辰一郎氏との二人組アート・コンサルティングファーム「コダマシーン」を設立し、独立。キュレーターとしての活動に加え、個々のアーティストや美術館、企業などへの幅広いコンサルティング業務を行っています。

金澤氏の企画した展覧会は多岐に渡り、漫画を題材としたものから、現代美術家の個展、そして国際的な視野を持つ展覧会まで、その活動は多様性に富んでいます。代表的な企画として、川崎市市民ミュージアムにおける『横山裕一　わたしは時間を描いている：ネオ漫画の全記録』や『How to Make Manga Collection and Exhibition: コレクション展』、『パパは漫画家−岡本太郎から見た父・一平』、『ラク描キセヨ－クリエイティヴユニット トーチカの軌跡』、『ナインホール：佐藤雅晴展』、『セカイがハンテンし、テイク』などが挙げられます。これらの企画を通して、金澤氏は漫画、現代美術、そしてそれらの境界領域を横断する多様な表現を探求してきました。

十和田市現代美術館では、『ラファエル・ローゼンダール：ジェネロシティ　寛容さの美学』や『毛利悠子：ただし抵抗はあるものとする』など、現代美術の最先端を捉えた展覧会を企画。国際的なアーティストの作品を国内に紹介するなど、日本の現代美術シーンに貢献しています。

金澤氏は、上智大学で培った国文学の知識と、東京藝術大学大学院での漫画研究、そして美術館での実践経験、さらに英国王立芸術大学院大学での研鑽を通して、独自のキュレーターとしての視点を確立してきました。その活動は、現代美術の多様な側面を深く理解し、表現者と観客を繋ぐ架け橋としての役割を果たしています。今後の活動にも注目が集まります。

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