金芝河

金芝河（キム・ジハ）

金芝河（きん しが、김지하、Kim Chi-Ha）は、大韓民国を代表する詩人であり思想家で、本名は金英一（김영일）。1941年2月4日に全羅南道木浦市で生まれ、2022年5月8日に逝去した。投下した作品や政治的活動を通じて、彼は韓国の現代文学と社会運動に大きな影響を与えた。ペンネームの「芝河」は、同音の「地下」に由来している。彼の本貫は金海金氏である。

生い立ち

金は映画技師の一人息子として育ち、1954年に父の仕事の関係で江原道原州市に引っ越した。中学時代に詩作を始め、1959年にはソウルの中東高等学校を卒業。その後、ソウル大学校美術学部に入学したが、同年の4・19学生革命に参加することで政治活動にも目覚めていく。

1961年には、朴正煕政権の成立以降、反体制運動を強化し、1964年の「民族的民主主義葬礼式」の弔辞を執筆。デモに参加し逮捕されるなど、目覚ましい活動を続けた。1966年9月、ソウル大学校を卒業した後、江原道の炭鉱での労働を余儀なくされた。

詩作と政治活動

1970年、金は長篇詩「五賊」を発表し、財閥や政治家に対する批判を行った。この作品は大きな注目を集め、金はその後も圧力に屈せず、地下での活動を続けた。デモや抗議活動は反政府運動の象徴となり、彼の詩集『黄土』が1970年に出版され、さらなる名声を得た。日本でも『長い暗闇の彼方に』という翻訳書が出版され、幅広く知られるようになった。

1972年には、長編風刺詩「蜚語」を発表したが、再び逮捕され、国立結核療養院に抑留された。そこでも支援団体が設立され、国際的な抗議の声が上がった。

民青学連事件とその後

1974年の民青学連事件では、再び逮捕され、死刑判決を受けたものの、国際的な反響を受けての釈放も経験。政府による言論弾圧に屈しない姿勢が評価され、数多くの文学賞を受賞することとなる。再起後も詩だけでなくエッセイや談論集を発表し続け、地域自治や環境問題など幅広いテーマに取り組んだ。

近年の活動

1991年には自らの政治的立場を「中道進歩」として明言し、1998年に初めて日本を訪問。その後も韓国の政治情勢について積極的に発言し続けたが、彼の思想には賛否が分かれた。

金芝河は多様なテーマの作品を通じて、韓国社会の問題を扱い続け、81歳で亡くなるまで影響力を持ち続けた。彼にとって詩は単なる表現手段ではなく、社会への問いかけだった。彼の死後も、その思想や作品は多くの人々に影響を与え続けている。

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