金融再生プログラム

金融再生プログラム

金融再生プログラムは、2002年10月に小泉政権下で竹中平蔵内閣府特命担当大臣（金融担当）が構築した政策です。目標は、日本の金融機関特に銀行の再生であり、通称「竹中プラン」と呼ばれています。このプログラムは、総合的なデフレーション対策の中核を成し、不良債権の問題を解決することで経済再生を図ろうとしました。以下に要点を詳述します。

基本方針

プログラムの大きな柱は次の通りです:

• - 資産査定の厳格化: 市場価格に基づく査定を徹底し、特にDCF法（割引キャッシュフロー法）を採用しました。
• - 不良債権区分の統一: 大口債権者の不良債権等級を横串で統一し、その透明性を高めます。
• - 銀行の自己査定と金融庁の査定: 両者の査定結果を公表し、より健全な自己査定を促進しました。
• - 公的資金の活用: 必要に応じて公的資金を利用することを明示し、その管理方法についても議論しました。
• - 経営健全化の促進: 目標未達の銀行には業務改善命令を出すことにしました。

背景

1990年代、日本は100兆円以上の財政出動を続けていましたが、経済は回復せず「失われた10年」の真っただ中でした。この原因は、バブル期の不良債権処理が不完全だったことにあります。2001年に発足した小泉内閣は、最終的な不良債権処理を2-3年以内に行うと宣言しました。

また、小泉首相は「聖域なき構造改革」を掲げ、不良債権処理を政策の最優先事項と位置付けました。金融庁もこの方向性に従って進むつもりでしたが、当初の案は問題の根本的解決には至りませんでした。

そのため、2002年9月、首相は竹中平蔵を新たな金融担当大臣に任命し、以前の無策から脱却するためのプログラムを導入する決断をしました。

影響と事例

2003年、りそな[[銀行]]の監査法人による査定で自己資本比率が明らかに低下し、政府から資本注入を受け国有化されました。同年、足利[[銀行]]は債務超過が明らかとなり、金融庁は破綻処理を実施しました。これらの動きは、国内銀行の自己資本比率を向上させ、大規模な増資を促進する要因となりました。

ゾンビ企業の影響

プログラムの中で特に問題視されたのは、ゾンビ企業と呼ばれる「債務超過なのに銀行からの支援で生き延びている企業」です。これにはダイエーやカネボウなどが含まれ、政府の支援を受けていました。ゾンビ企業の存在は資源の無駄遣いと見なされ、再生に向けた構造改革が必要とされました。

成果

このプログラムにより、2002年時点で10%台であった不良債権比率は、2008年には3.0%にまで改善しました。この成功は、政府が企業の整理淘汰を民間に任せるのではなく、積極的に助け船を出す方針に転換した結果によるものでした。

政府の強力な後押しにより、再構築された金融システムは経済復活の起爆剤となり、残った企業に新たな活力を注入しました。金融再生プログラムは、日本経済の再生に重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

もう一度検索