金鍾碩

金 鍾碩（김종석）の経歴と軍人としての歩み

金 鍾碩（キム・ジョンソク）は、大日本帝国陸軍およびその後に成立した大韓民国の軍人であり、彼の経歴は非常に興味深いものです。金は、日本の植民地時代に朝鮮人として日本軍に従事し、最終的には日本陸軍で大尉、韓国陸軍で中領という地位に到達しました。彼の日本名は日原正人でした。

学び舎と士官学校の卒業

金は1938年に京城府の京城高等普通学校を卒業しました。続いて1942年12月、陸軍士官学校を56期生として卒業。彼の同期には、大韓民国国軍の創設に寄与した李亨根（松山武雄）や、後に銃殺された崔昌植（高山隆）など、歴史的に重要な人物が揃っていました。

沖縄戦での戦闘

金は沖縄戦において、日本陸軍第32軍、歩兵第32連隊第2大隊で小隊長として参加し、特に前田高地の戦いにおいてその指揮を執りました。この戦闘では、壮絶な白兵戦が繰り広げられ、外間守善の沖縄戦記には彼の戦闘ぶりと人柄が記されており、その内容は後世に残る証言となっています。1945年4月26日以降、日本軍は組織的に戦闘を停止するも、金と彼の大隊はゲリラ戦を余儀なくされ、最終的には9月3日に米軍に降伏しました。

前田高地では、特に激しい戦闘が展開され、米兵からは「ありったけの地獄をひとつにまとめた」と評されるほどでした。金は小隊長として大隊をまとめ、連戦連勝を追求していました。彼は5月1日に前田高地に突入し、5月10日には奇跡的に生き残り、仲間の重傷兵と共に乾パン壕に隠れました。

北上原での様子

その後も、金は棚原高地から北上原へ逃れながらのゲリラ戦を続けました。外間守善は、この時期の金の行動に注目し、彼の勇気と胆力を称賛しています。金は苦しい戦闘の中でも人々と協力し、撤退や隠密行動を続けました。

朝鮮戦争とその影響

沖縄戦の後、金は韓国に渡り、1946年3月には軍事英語学校を卒業して韓国陸軍でのキャリアをスタートさせました。その後、彼は任大尉として複数の重要な役職を歴任し、国防警備隊の教育課長や人事処長などを務めました。1948年には南朝鮮労働党による反乱に関与したとして逮捕され、軍法会議で死刑判決を受けました。1949年8月2日、彼はソウルで銃殺されましたが、その際も明るく振る舞ったと言われています。

まとめ

金 鍾碩の生涯は、戦争と政治が絡み合う激動の時代を生き抜いた一人の軍人の姿を浮かび上がらせます。彼の業績と経験は、今後も研究や議論の対象となることでしょう。彼と同じように沖縄戦を戦った他の朝鮮人軍人たちと共に、金の印象深い物語は歴史の一部として忘れられてはいけません。

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