金鑚神社

金鑚神社について

金鑚神社（かなさなじんじゃ）は、埼玉県児玉郡神川町に位置する神社です。古くは「金佐奈神社」とも呼ばれ、武蔵国における重要な神社の一つとして知られています。この神社は、関東平野の西端、御嶽山の麓に鎮座しており、背後の御室山（御室ヶ獄）を神体山として崇拝しています。

特徴

金鑚神社の最も特徴的な点は、本殿を持たないことです。これは、神体山である御室山を直接拝むという、古代祭祀の形式を今に伝えるものです。この点で、長野県の諏訪大社や奈良県の大神神社と並び、非常に珍しい神社として知られています。

また、境内には国の重要文化財に指定されている多宝塔があり、室町時代の建築様式を今に伝えています。さらに、御嶽山の中腹には、国の特別天然記念物である「鏡岩」が存在し、地質学的にも貴重な場所となっています。

由来

社名の「金鑚」は、砂鉄を意味する「金砂（かなすな）」が変化したものと考えられています。この地域では、古くから良質な砂鉄が産出しており、それが社名に反映されたと考えられています。

伝承によれば、日本武尊が東征の際に、火打金を御室山に納め、天照大神と素戔嗚尊を祀ったのが始まりとされています。また、元々は現在の場所から約400メートル南にある元森神社が社殿であり、そこから御室山を遥拝していたと考えられています。

歴史

金鑚神社は、862年には官社に列し、名神大社として朝廷からも重視されました。中世には、武蔵国における五宮の一つとして数えられ、武蔵国総社である大國魂神社でも分霊が祀られています。ただし、江戸時代には二宮とされたという説も存在しますが、中世の資料には二宮とする記録は見当たらず、正確なところは不明です。

また、中世には児玉党や丹党の安保氏（阿保氏）からの崇敬を受け、1534年には阿保全隆によって多宝塔が寄進されました。江戸時代には、幕府から30石の朱印が与えられ、明治時代には官幣中社に列せられました。

祭神

金鑚神社の主な祭神は以下の通りです。

天照大神（あまてらすおおみかみ）
素戔嗚尊（すさのおのみこと）
日本武尊（やまとたけるのみこと）

境内

金鑚神社の境内には、以下の様な施設があります。

拝殿・中門: 本殿の代わりに、神体山である御室山を直接拝む形式となっています。
多宝塔: 室町時代後期に建てられた、国の重要文化財です。阿保全隆によって寄進されました。
御嶽の鏡岩: 御嶽山中腹にある、国の特別天然記念物で、地質学的に貴重な岩です。
奥宮: 御嶽山の山頂に鎮座し、護摩壇の跡や石仏群が残っています。
境内末社: 境内の西側に多数の末社が鎮座しています。

祭事

金鑚神社では、年間を通じて様々な祭事が行われます。主な祭りは以下の通りです。

福迎祭（1月3日）
筒粥神事（1月15日）
例祭（4月15日）
水口祭（5月辰日）
元森神社例祭（秋尽祭）（10月19日）
火金鑚祭（11月23日）

特に、元森神社例祭では、旧社地から御室山を称える「山ほめ神事」が行われます。

文化財

重要文化財（国指定）: 多宝塔
特別天然記念物（国指定）: 御嶽の鏡岩

その他

金鑚神社は、古代から続く歴史と文化を伝える貴重な場所です。その独特な社殿の形式や、数々の文化財は、訪れる人々に深い感動を与えます。

また、神社の周辺には、かつて山城であった御嶽城の遺構や、旧別当寺であった大光普照寺など、歴史的な見どころも多く存在します。

アクセス

所在地: 埼玉県児玉郡神川町字二ノ宮750
交通アクセス: JR本庄駅または丹荘駅から朝日バスで「新宿」バス停下車、徒歩約20分。

金鑚神社は、歴史と自然が調和した、魅力あふれる神社です。ぜひ一度訪れて、その歴史と文化に触れてみてください。

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