金鯱

金鯱の魅力と歴史

金鯱（きんしゃち）は、鯱を金色に装飾したものを指し、主に日本の城郭建築に使用される装飾的なモチーフです。これらは城の天守に取り付けられ、その華やかさから威厳や権力を象徴します。城ごとに異なるスタイルがあり、特に名古屋城や岡山城で見ることができます。

金鯱の種類

金鯱には主に2種類のスタイルがあります。1つは「金箔押鯱瓦」で、もう1つは「金板張の木造鯱」です。

金箔押鯱瓦

金箔押鯱瓦は、粘土製の素焼き瓦に漆を塗り、その上に金箔を施したものです。この技法は、豊臣恩顧の大名により、広島城や岡山城をはじめ、その他の重要な城に取り入れられました。城ごとに金箔押の程度は異なり、通常は普通の鯱瓦が使われている場合が多いと考えられています。

金板張木造鯱

一方、金板張の木造鯱は、徳川家康が初代江戸城天守に取り入れたことが始まりとされ、金属板を使用した強固な構造が特徴です。名古屋城の大天守や徳川期の江戸城、さらには大坂城の天守にも同様のスタイルが見られますが、その数は少ないため、貴重な存在です。

金鯱の歴史

金鯱の起源には諸説あり、織田信長が安土城に、また羽柴秀吉が大坂城に金を施したとも言われています。しかし、豊臣政権下では、無許可で金を用いることは禁じられていました。

その後、関ヶ原の戦い以降、権力の移行が進むと、築城に対する規制が緩和され、多くの大名が金鯱を用いた天守を建設するようになりました。しかし、徳川政権が安定すると、再び規制が強化され、1615年には築城や天守造営が制限されました。このため、金鯱を盛大に装飾することはほとんど行われず、経済的な理由から質を落としたり、金を施さない城が増えていったのです。

名古屋の文化と金鯱

名古屋には、金鯱を模したお座敷芸「金の鯱」が存在します。舞妓や芸妓が逆立ちをして金鯱の形を作るこの芸は、名古屋の伝統芸能として大切にされています。この技芸は戦前から受け継がれており、名古屋の文化を象徴する存在と言えるでしょう。

金鯱はただの装飾ではなく、日本の歴史や文化と深く関わりを持っています。城郭建築における金鯱は権力の象徴として人々に記憶され、その豪華さは現在でも訪れる人々を魅了し続けています。

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