釜山軌道

釜山軌道についての詳細

釜山軌道（ぷさんきどう）は日本の統治時代に朝鮮半島に存在した鉄道会社であり、当時の私設鉄道の先駆けとされています。この鉄道は、釜山を中心に温泉地へのアクセスを提供する重要な輸送手段として機能しました。

設立の背景

釜山電燈を経営していた大池忠助が、水治療を目的とした湯治客を輸送するための鉄道建設を計画しました。1909年6月20日に鉄道敷設の特許を申請し、同年8月15日に釜山軌道株式会社が設立されました。最初の資本金は5万円であり、設立から約4ヶ月後の12月には、釜山鎮から東莱南門間の4哩19鎖が開通し、さらに東莱南門から温泉場間の1哩76鎖も同月内に開通しました。この区間は2フィートの軌間が設定され、小型の蒸気機関車が運行に使用されました。

企業の変遷

1910年、釜山における電気事業を目指す韓国瓦斯電気株式会社が設立され、既存の釜山電燈や釜山軌道を買収することを計画。大池忠助の同意を得た後、その後の営業を引き継ぎました。しかし、その過程には困難もあり、1911年に釜山鎮の倉庫で発生した火災が影響し、車両が被害を受ける事態が発生しました。これにより、一時トロリーによる旅客輸送が必要になりました。

買収の条件には軌間を2フィート6インチに改軌することが含まれており、1912年にはその工事に着手し、同年4月には改軌後の新しい区間が開通しました。

電化の進展

釜山軌道は1915年から電車の運行を始めました。最初は蒸気機関車と電車が併用されていましたが、1916年までに蒸気機関車は廃止され、徐々に電車の運行が主流となっていきました。電車の増備や複線化も進められ、都市の交通網の発展に寄与しました。

駅と車両

釜山軌道には、釜山鎮、西面、巨堤里、東莱温泉場といった主要駅が存在しました。初期には2両の蒸気機関車が運用されており、火災前には一等、二等、三等の客車がそれぞれ2両ずつ存在していました。

主要な機関車には、ドイツのコッペル社製のタンク機関車やイギリスのバークレイズ社製のタンク機関車があり、アメリカのボールドウィン社製の機関車も運行されていました。これらの多様な車両は、釜山軌道の運行の多様性を示しています。

創業からの歴史のまとめ

釜山軌道は、多くの変遷を経て、釜山市内および周辺地域の交通の重要なインフラとなりました。後に会社は社名を変更し、新たな事業展開へと進んでいきます。今も続く釜山市電の歴史は、釜山軌道から始まったとも言えます。総じて、釜山軌道は日本統治下の朝鮮における鉄道交通の始まりを象徴する存在であり、その影響は今も形を変えて生き続けています。

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