釜山市電

釜山市電の概要

釜山市電（プサンしでん）は、大韓民国釜山広域市にかつて存在した市電のことを指します。この路面電車は1909年に創設され、当初は東萊温泉への訪問者輸送を目的とするものでした。電力会社の韓国瓦斯電気は、軽便鉄道である釜山軌道を買収した後、改軌および電化の作業を経て、新たな鉄道網を整えました。

開業からの成長

1911年に計画が始まり、1915年に初めて営業を開始した釜山市電は、次第に市民の移動手段として重要な役割を果たすようになりました。創業当初、路線の長さは約17.7kmに及び、特に交通の便が良かった釜山府内区域で乗客が多く利用しました。電車は29両の電動客車を揃え、1926年時の旅客人員は実に613万人を超えていました。

戦略的変更と運営

1937年、大韓民国南部の電力会社が統合されて南鮮合同電気が成立し、釜山市電の運営は新たな体制下に置かれました。太平洋戦争後、日本人が撤退し、運行は韓国人の手へ移りますが、資材不足の状況が影響し、次第に稼働率が低下しました。そのためアメリカ軍は、ロサンゼルスの不要となった路面電車車両を釜山に送る支援を行いました。

1950年代には、多くの設備が老朽化し、一部の路線が廃止されます。1961年には、南鮮合同電気などと合併し、韓国電力株式会社へと経営が移譲されました。

最期を迎えた市電

1963年には新たに富士車輌の電車が導入され、一部の路線の複線化が進むなどしてましたが、都市交通はモータリゼーションの影響を受け、1968年5月20日には全ての運行が終了しました。この年、韓国国内の全ての路面電車が廃止され、釜山市電はその歴史に幕を下ろすこととなりました。

保存活動と近年の動向

運行終了後、釜山市電で使用されていたアメリカ製電車の一両は、西区の東亜大学校九徳キャンパスに保存されました。2010年には修復され、一般公開される運びとなり、大学側はこの電車を近代文化遺産に指定することを推進しています。

トラム復活の試み

2020年10月、釜山市は五六島線の基本計画が承認されたことを発表しました。この計画は、南区から龍湖洞まで延びる5.15kmの路線を含むもので、竣工が2023年予定とされました。これにより、韓国で約50年ぶりのトラム導入が公式に決定された形です。しかし建設予算の増加が課題とされ、今後の進捗には不透明な点が残ります。なお、2023年にはソウルでの軽電鉄計画が先行する形ともなりました。

年表と路線

釜山市電は多様な年表を持ち、各種路線が存在しました。主要な路線には凡一町線、牧島線、長手線、大新町線、大庁町線、東莱線などがあり、多くの人々が路面電車を利用していました。

結論

釜山市電は、単なる交通機関を越え、地域の文化や歴史の一部として重要な存在でした。その変遷は、韓国の近代都市交通の歴史を語る上で不可欠な要素であり、今後のトラム復活計画も含め、地域交通における再評価が期待されます。

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