針突

針突（はじち、はづき）

針突は、沖縄の琉球諸島で行われている入れ墨の一種であり、歴史や文化が色濃く反映された独特の習俗です。この入れ墨の概念は、成人儀礼や結婚前の女性に特有の意味を持ち、地域ごとに異なる模様が施されてきました。

入れ墨の種類と地域的な違い

針突文化は、喜界島や奄美大島から始まり、与那国島までの広い範囲に分布しています。入れ墨を指す名称は多岐にわたりますが、「針突」や「ハヅキ」が最も一般的です。この名称は、針を用いて皮膚に墨を突く作業から由来しています。また、地域によっては「手突」や「色付」といった呼び名もあり、それぞれの地元の風習や文化を反映しています。

入れ墨は主に女性に施され、成人を迎える儀式の一部としての役割を果たしていました。これにより、既婚者の証としても利用され、文化的な重要性がありました。入れ墨の施術は専門的な職に就いている「針突師」によって行われ、用いる道具は主に墨汁と針です。

施術プロセスは、まず皮膚を焼酎で消毒し、墨を塗った針で皮膚に孔を開けるというもので、施術後は炎症を防ぐために再度の消毒やおからでの摩擦が行われました。入れ墨のデザインは地域ごとに異なり、奄美群島では手首の掌側に、八重山列島では前腕全体に施されることが多かったと言われています。

歴史的背景

針突の歴史は古く、622年の『隋書』には「琉求国」の女性が墨で手を彫る風習についての記載があります。この時代の記録は、琉球の文化が非常に深い背景を持つことを示しています。さらに、1461年には「龍虎文」という描写も見られ、1534年には花や鳥などの形が描かれることが明記されています。

日本の文献でも、1605年に針突に関する記録があり、劉益王の時代にはこの習俗を廃止する提案もありましたが、当時の宗教的な意義から実行には至りませんでした。

近代における針突の変遷

1872年に日本政府が入れ墨一般を禁止する法令を発したことで、針突は厳しく制限されることになりました。特に奄美では1876年に文身禁止令が出されました。しかし、沖縄では1899年に至るまで針突は停止されず、それに伴い針突師の減少と共に「ハジチアソビ」として子供同士で行う風習も見られました。

1945年以降、軽犯罪法の施行により入れ墨禁止の根拠が消失し、1980年代には各自治体がリサーチを行い、針突文化の調査が進んでいます。また、トライバルタトゥーとしての針突の再興運動もあり、2022年には針突師の平敷萌子が再び施術した事例も報じられています。

このように、針突は琉球諸島の文化の象徴として確固たる位置を占めており、近代社会の中で新たな意義を見出そうとしているのです。

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