釣狐

釣狐（つりぎつね）

釣狐は、日本の伝統的な演劇である狂言の一つです。この演目は、特に鷺流では「吼噦」として知られ、集狂言に分類されています。一般的には披きとして扱われ、大蔵流では「極重習」、和泉流では「大習」としてそれぞれ重んじられています。この演目には、「猿に始まり、狐に終わる」という言葉があり、これは狂言師が初舞台を踏む際に猿役で、そして『釣狐』の狐役を演じることによって一人前として認められるという意味があります。

この物語の背景には、白蔵主の伝説があり、多くの狂言師は上演する際、大阪府堺市にある少林寺に参詣し、白蔵主稲荷を祀るための竹を頂き、小道具の杖として使用します。また、本演目にインスパイアされた歌舞伎作品『釣狐物』も存在し、狂言の影響とその伝統が様々な形で受け継がれていることがわかります。

登場人物

• - シテ：老狐
• - アド：猟師

あらすじ

物語の始まりは、老狐が猟師に一族全てを釣り取られてしまうことからです。この狐は猟師の伯父である白蔵主という僧に化け、猟師のもとへと向かいます。白蔵主は、まず殺生の罪の深さについて説き、さらに伝説の妖狐玉藻前の話を用いて、狐の祟りの恐ろしさを跡付け、猟師に狐釣りをやめるよう促します。

しかし、帰り道に、猟師が捨てた狐釣りの罠の餌である鼠の油揚げを見つけてしまった老狐は、その誘惑に負けてしまいます。彼は化けていた衣装を脱ぎ捨て、軽やかな姿になって再出発を試みるものの、猟師はすでに罠を仕掛けて待ち構えています。

老狐は、本性を現して戻ってきたところを猟師に捕まる寸前となりますが、最終的にはなんとか罠を外し、逃げ出すことに成功します。この物語は、深い道徳的メッセージを含んでおり、単なる娯楽としての価値だけでなく、観客に考える機会を与えるものでもあります。

参考文献

• - 山脇和泉『和泉流狂言大成』第四巻、1919年。

外部リンク

• - 釣狐 - 文化デジタルライブラリー
• - 釣狐（つりぎつね） – お豆腐狂言 茂山千五郎家
• - 狂言おすすめ演目「釣狐」＞狂言師　十世三宅藤九郎

釣狐は、狂言の伝統を色濃く反映した演目であり、観客に強い印象を残す作品です。

もう一度検索