鈴木伸尋

鈴木伸尋調教師：動物愛から始まった競馬人生と400勝への軌跡

鈴木伸尋氏は、1959年10月26日、静岡県に生まれたJRA美浦トレーニングセンター所属の調教師です。のどかな農家の家庭で育ち、幼少期から動物と触れ合う生活を送っていました。自然豊かな環境の中で育まれた動物への愛情は、後に彼の進む道を大きく左右することになります。

幼い頃の読書体験が、彼の将来を決める大きな転機となりました。動物に関する書籍を読み漁る中で、特に野生動物や絶滅危惧種の保護に強い関心を抱くようになり、獣医を志すようになりました。その強い思いから、彼は日本獣医畜産大学へ進学。大学生活では馬術部へ入部し、馬との関わりを深めていきます。

大学での馬術部活動を通して、馬への興味はますます増大。当初は馬の獣医を目指していましたが、獣医としての研修先だったシンボリ牧場での出来事が、彼のキャリアパスを大きく変えることになります。牧場の場長から「調教師という道もある」とアドバイスを受けたことがきっかけとなり、彼は競馬の世界へと進むことを決意しました。

1988年4月、沢峰次厩舎で調教助手としてのキャリアをスタートさせます。厳しい修業の日々を経て、1997年にはJRA調教師免許試験に見事合格。そして翌1998年、美浦トレセンに自身の厩舎を開業しました。

調教師としての道のりは順風満帆ではありませんでしたが、地道な努力と情熱が実を結び始めます。2003年2月22日、クイーンカップでチューニーが優勝。念願の重賞初勝利を掴みました。その後も数々の勝利を重ね、2009年にはJRA通算200勝、2017年には300勝の大台を突破。そして2023年4月30日には、JRA通算400勝という偉業を達成しました。

400勝という記録は、彼の長年の努力と、馬への深い愛情、そして厩舎スタッフや関係者との連携があってこそ成し遂げられたものです。

彼は調教師としての活動以外にも、JRAが発足させた「引退競走馬に関する検討委員会」の委員を務めるなど、競馬界の発展にも貢献しています。また、趣味は城巡りと意外な一面も持ち合わせています。

鈴木伸尋調教師の厩舎からは、多くの優秀な騎手が巣立っていきました。岩戸孝樹氏、津村明秀氏、千葉直人氏、横山武史氏、小林美駒氏など、多くの騎手が彼の指導の下で成長を遂げ、競馬界で活躍しています。

主な管理馬としては、2003年のクイーンカップを制したチューニー、2008年のユニコーンステークスを制したユビキタス、そして2010年の中山牝馬ステークスを制したニシノブルームーンなどが挙げられます。これらの馬との出会い、そして勝利は、彼の調教師人生を彩る貴重な経験となっています。

鈴木伸尋氏の物語は、動物への愛から始まり、獣医の道から競馬へと転身し、400勝という偉業を達成した、まさに「努力が実を結ぶ」ストーリーです。彼の今後の活躍にも期待が高まります。

もう一度検索