鈴木奈央

鈴木 奈央（すずき なお）は、1997年2月9日生まれ、静岡県富士市出身の女子競輪選手、元自転車競技選手です。登録地は地元の静岡県であり、静岡競輪場を主な練習拠点としています。日本競輪学校（当時）の第110期生として卒業し、競輪選手としての道を歩み始めました。

自転車に乗り始めたのは小学校3年生の頃で、競輪選手である兄・康平氏の影響を受けたことがきっかけです。その後、星陵高等学校へ進学し、自転車競技に本格的に取り組み始めました。高校時代は中長距離種目を中心に才能を開花させ、将来的に地元で開催される東京オリンピック出場を目指す強化指定選手にも選ばれるなど、国内トップレベルで活躍しました。

国際舞台でもその実力を示し、2014年5月に開催されたアジア・ジュニア自転車競技選手権大会ではスクラッチ種目で優勝を飾りました。翌2015年2月のアジア・ジュニア選手権では、ケイリン、チームパシュート、スクラッチの3種目で優勝という輝かしい成績を収め、アジアにおけるジュニア世代のトップ選手としての地位を確立しました。

高校卒業後の進路については、大学進学と競輪選手になることの両方を視野に入れていましたが、大学に進学した場合、東京オリンピック開催の前年に競輪学校に入学することになるため、オリンピックへの挑戦と競輪選手としてのキャリアの両立を考慮し、大学へは進まずに競輪選手となることを決意しました。当時、自転車競技と競輪の両立を実現していた加瀬加奈子選手の影響も受け、自身も二つの道を並行して進むことを選択しました。

2015年、競輪学校第110回生入学試験に見事合格。競輪学校ではその実力を遺憾なく発揮し、在校成績は1位（32勝）という圧倒的な成績を残しましたが、卒業記念レース決勝では惜しくも2着となり、優勝を逃しました。しかし、そのポテンシャルの高さは誰もが認めるところでした。

2016年7月2日、地元の静岡競輪場で競輪選手としてデビューしました。デビュー戦は4着、1着、3着という成績で、そのわずか3週間後の7月24日には平塚競輪場でデビュー2戦目ながら早くも初優勝を飾るなど、順調なスタートを切りました。

競輪選手として活動する傍ら、自転車競技選手としても国内外で積極的に活動を続けましたが、2018年頃からは自転車競技への比重が高まり、競輪の出走回数は減少しました。この時期、彼女は日本自転車競技連盟（JCF）よりトラックレース中距離強化指定「A」指定選手（ポディウム）として指定されており、世界の舞台での活躍が期待されていました。

国際大会における特筆すべき実績としては、2017年11月にイギリスのマンチェスターで行われたUCIトラックサイクリングワールドカップ第2戦での女子チームパシュートにおける銅メダル獲得が挙げられます。これは同種目において日本史上初のメダル獲得という歴史的な快挙でした。さらに翌月、チリのサンティアゴで開催されたUCIワールドカップ第4戦においても再びチームパシュートで銅メダルを獲得し、その実力がフロックではないことを証明しました。

2018年2月には、オランダのアペルドールンで行われたUCIトラック世界選手権大会の女子スクラッチ種目で4位入賞を果たし、世界のトップクラスに肉薄する力があることを示しました。

2020年には、ファン投票によって出場選手が選ばれる「ガールズケイリン総選挙」にて第13位に選出され、同年8月13日に名古屋競輪場で行われたガールズケイリンコレクション・アルテミス賞レースに初出場しました（結果は5着）。

しかし、2021年12月13日、自身のSNSを通じて自転車競技からの引退と今後はガールズケイリンに専念することを表明しました。引退の理由として、「団体追い抜きでメダルが取れていたときは目標があったが、今は世界を目指すにあたっての明確な目標が見つからない」ことを挙げ、新たな目標としてガールズケイリンでのさらなる高みを目指す決意を示しました。

自転車競技で培った世界レベルの脚力と経験を活かし、ガールズケイリンの舞台でさらなる活躍が期待される選手です。

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