鈴木徹 (野球)

鈴木 徹（すずき とおる）

1936年4月4日、宮城県に生まれた鈴木徹は、日本のプロ野球界において選手、そして主に審判員として長きにわたり貢献しました。

若手時代と選手キャリア

宮城県立古川高等学校を卒業した鈴木は、1955年に当時の大洋ホエールズへ内野手として入団しました。この時期には伊藤春男といった選手が同期としてチームに加わっています。背番号35を背負いましたが、残念ながら一軍の公式戦に出場する機会を得ることはなく、プロ野球選手としてのキャリアを終えました。

審判への転身とセ・リーグでの活躍

選手としてユニフォームを脱いだ後、鈴木は野球に関わり続ける道を選び、1963年にセントラル・リーグの審判員として新たな一歩を踏み出しました。以来、1993年シーズン終了をもって引退するまでの31年間にわたり、グラウンドで公正な裁定を下し続けました。その担当試合数は通算2539試合に及び、セ・リーグを代表するベテラン審判の一人として数えられました。審判としての袖番号は17でした。

長年の実績が認められ、1992年から1993年にかけてはセ・リーグ審判部の主任という要職も務め、後進の指導や審判技術の向上にも尽力しました。

記憶に残る試合での担当

鈴木徹審判は、日本シリーズでの出場機会はありませんでしたが、オールスターゲームには4度出場するなど、球界の祭典の舞台にも立ちました。特に1992年のオールスターでは、第2戦（7月19日、千葉マリンスタジアム）で右翼線審を務め、この試合ではヤクルトスワローズの古田敦也捕手がオールスター史上初のサイクルヒットを達成するという歴史的な瞬間に立ち会っています。また、地元である宮城県で行われた第3戦では、責任審判である球審を務め、多くの野球ファンの前で毅然としたジャッジを見せました。

他にも、プロ野球史に残る重要な試合で審判員として関わっています。1992年6月14日に阪神甲子園球場で行われた阪神タイガース対広島東洋カープ戦では、阪神の湯舟敏郎投手がノーヒットノーランを達成しましたが、この快挙達成時、鈴木は一塁塁審を担当していました。特に9回二死という場面で、広島の正田耕三選手がセンター方向へ放ったゴロを、阪神のセカンド、和田豊選手が好捕し、一塁へ送球。その送球を受けた後の鈴木の正確なアウトのコールによって、湯舟投手のノーヒットノーランが確定しました。この緊迫した場面での的確な判定は、多くのファンの記憶に残っています。

また、読売ジャイアンツの長嶋茂雄氏が現役を引退した記念すべき試合でも、鈴木は三塁塁審としてグラウンドに立っていました。引退セレモニーの際には、スコアボードにその日の審判団の名前が掲示され、鈴木の名前も記されていました。

死去

長年にわたり野球界に貢献した鈴木徹氏は、2004年12月22日に肺炎のため逝去しました。68歳でした。

関連情報

年度別打撃成績：一軍公式戦出場なし
背番号（選手時代）：35 （1955年）
* 関連項目：宮城県出身の人物一覧、横浜DeNAベイスターズの選手一覧、プロ野球審判員一覧

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