鈴木悟 (格闘家)

東京都八王子市出身、1976年3月3日生まれの鈴木悟（すずき さとる）は、日本の格闘技界において類を見ないキャリアを築いた人物です。

プロボクサー、キックボクサー、シュートボクサー、さらには俳優、プロレスラーとしても活動し、中でも特筆すべきは、プロボクシング、シュートボクシング、プロレスの三つの異なる競技でそれぞれ王座を獲得するという、史上初の「異種格闘技三冠王」という偉業を成し遂げたことです。

彼のキャリアはまずボクシングから始まりました。1997年に八王子中屋ボクシングジムからプロデビューを飾ると、翌年には全日本ミドル級新人王の栄冠を手にします。そして2000年8月、保住直孝選手を破り第48代日本ミドル級王座を獲得。このタイトルを9度にわたり防衛し、WBA世界ミドル級ランキングでも最高10位まで名を連ねるなど、日本のミドル級におけるトップ選手として君臨しました。2003年に一度王座を失いますが、2005年2月には決定戦を制して第50代日本ミドル級王者として返り咲きを果たしています。

ボクシング界での実績を積み重ねた後、鈴木氏は新たな挑戦としてK-1への転向を発表します。2005年10月にK-1のリングに初めて上がりますが、キックボクシングのルールや技術への適応に苦慮し、キック主体の選手を相手に黒星が先行する厳しい戦いが続きました。しかし、2009年9月の新日本キックボクシング協会の大会で、転向後初のKO勝利を収め、続く試合でも勝利を重ね、立ち技での光明を見出します。

2010年からはシュートボクシングのリングにも参戦。組み技や投げ技が認められる独自のルールの中で、新たな才能を開花させていきます。2011年9月にはSB日本スーパーウェルター級王座決定戦で金井健治選手と対戦し、ダウンを奪う猛攻でTKO勝利。第4代SB日本スーパーウェルター級王者に輝き、これによりボクシングとシュートボクシングの二つの格闘技での王座獲得を達成しました。

格闘家として活動する傍ら、舞台や映画、Vシネマなどでの俳優活動も積極的に行っていました。

そして、キャリア後年にはプロレスへの挑戦を開始します。2018年10月、プロレスリングHEAT-UPの大会でプロレスデビューを飾り、初戦を勝利で飾ります。翌2019年9月にはBBW世界スーパーボディ級王座を獲得し、プロボクシング、シュートボクシング、プロレスの三つの競技で頂点に立った史上初の選手となりました。さらに2021年にはBBWタッグ王座も獲得しています。

現役時代の鈴木氏は、入場曲に小柳ゆきの「愛情」を使用し、特にボクサー時代はサビの部分に合わせてリングインするというスタイルを持っていました。また、名前をコールされる際にグローブにキスをしてカメラにウィンクするという、ボクサー時代から変わらないパフォーマンスも披露し、観客に親しまれました。

鈴木氏がK-1へ参戦したことは、当時のボクシング界に波紋を呼びました。引退したボクサーが安易に他競技へ移る事態に対し、西日本ボクシング協会が引退後のセコンドやトレーナーライセンス、ジム設立許可を剥奪するという制限措置を発表。東日本協会でも同様の検討がなされましたが、これは後に白紙となりました。

現在、鈴木悟氏は2013年に港区西麻布にオープンしたプライベートレッスンスタジオ「TAKE IT EASY」の代表として、後進の指導や一般へのフィットネス指導に携わっています。

獲得タイトル

東日本ミドル級新人王（1998年）
全日本ミドル級新人王（1998年）
第48代日本ミドル級王座（9度防衛）
第50代日本ミドル級王座
第4代SB日本スーパーウェルター級王座
第2代BBW世界スーパーボディ級王座

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