鈴木智実

鈴木智実（すずきともみ）は、1979年 6月5日生まれの日本の元陸上競技選手です。短距離走、特に200メートルを専門とし、高校時代にはインターハイ200メートルでの歴史的な3連覇や、高校生アスリートとして日本選手権200メートル優勝を果たすなど、日本の短距離界で一時代を築きました。彼女が記録した200メートルの自己ベスト23秒76は、当時のジュニア日本記録および日本高校記録として長くその名を刻みました。

経歴

愛知県出身の鈴木選手は、岡崎市立竜南中学校から名古屋経済大学市邨中学校・高等学校へと進みました。中学時代から既にその才能は開花しており、全日本中学校選手権の200メートルで連覇を達成するなど、同世代のトップ選手として活躍しました。

高校進学後、その実力はさらに飛躍します。1995年にはインターハイの200メートルと4x100メートルリレーで二冠を獲得。同年の日本ジュニア選手権200メートルや国民体育大会少年B200メートルでも優勝するなど、高校1年生にして輝かしい成績を残しました。

1996年、高校2年時のシーズンは波乱含みでした。インターハイ愛知県予選の200メートルで追い風参考ながら23秒71という驚異的なタイムを記録し、その実力を見せつけます。続く日本選手権200メートルには初めて出場し、ベテラン勢に交じって2位に入り、ポテンシャルの高さを示しました。しかし、インターハイでは開会式中に左目を負傷するというアクシデントに見舞われ、出場予定だった100メートルと400メートルを棄権せざるを得なくなりました。それでも、専門の200メートルと得意とする4x100メートルリレーでは、逆境を跳ね返して前年に続き二冠を達成しました。シーズン後半には世界ジュニア選手権に出場しますが、4x100メートルリレーの決勝を前に左脚大腿部に違和感を覚え、無念の欠場となりました。この怪我が響き、腰痛まで発症するなど、競技人生で初めての故障に悩まされることとなります。しかし、満身創痍の状態でも、日本ジュニア選手権やジュニアオリンピックの200メートルで優勝するなど、不屈の精神力を見せました。

1997年、高校3年となった鈴木選手は、苦難を乗り越え再び輝きを取り戻します。インターハイ東海大会では、100メートル、200メートル、400メートル、4x100メートルリレーの4種目で2年連続の四冠を達成。特に200メートルでは当時としては非常にレベルの高い23秒84を記録しました。迎えたインターハイでは、直前に400メートルの欠場を決めていましたが、本番前日には急遽100メートルへの出場を決めると、この種目で自身初の全国タイトルを獲得しました。そして、優勝候補筆頭として臨んだ200メートルでは、強い向かい風の中でタイムは伸びませんでしたが、2位に0秒80もの大差をつける圧勝劇を見せ、インターハイの全種目を通じて史上17人目となる偉業、3連覇を成し遂げました。最終種目の4x100メートルリレーではアンカーを務めますが惜しくも2着となり、リレーでの3連覇はなりませんでした。

インターハイ後、秋に開催された日本選手権200メートルでは、決して万全の調子ではなかったにも関わらず、驚異的な走りを披露します。決勝で自身最高の23秒76（向かい風0.0メートル）をマークし、当時のジュニア日本記録、日本高校記録を同時に更新。日本歴代2位（当時）という記録で、ついに日本の頂点に立ちました。

このほかにも、国民体育大会やアジアジュニア選手権など、国内外の大会で多くの実績を積み上げました。

自己ベスト

100m：11秒81（1997年）
200m：23秒76（1997年）

主要大会成績（一部）

- 1993年全日本中学校選手権 200m 優勝
- 1994年全日本中学校選手権 200m 優勝
- 1995年インターハイ 200m 優勝
- 1995年インターハイ 4x100mR 優勝
- 1996年日本選手権 200m 2位
- 1996年インターハイ 200m 優勝
- 1996年インターハイ 4x100mR 優勝
- 1997年インターハイ 100m 優勝
- 1997年インターハイ 200m 優勝 (3連覇)
- 1997年日本選手権 200m 優勝
- 1997年国民体育大会少年A100m 優勝
- 1997年アジアジュニア選手権 200m 3位
- 1997年アジアジュニア選手権 4x100mR 3位

鈴木智実選手は、特に高校時代の圧倒的なパフォーマンスと、ジュニアカテゴリーでの記録更新によって、日本の女子短距離界に大きな足跡を残した選手と言えるでしょう。

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