鈴木省三

鈴木省三：日本のバラを世界へ導いた「ミスターローズ」

鈴木省三（すずき せいぞう、1913年5月23日 - 2000年1月20日）は、日本のバラ育種家であり、「ミスターローズ」として広く知られています。京成バラ園芸の研究所所長を務め、数々の美しいバラを生み出すとともに、日本のバラの発展に大きく貢献しました。

生い立ちとバラとの出会い

1913年、東京府小石川（現在の東京都文京区）に生まれた鈴木省三は、幼少期から自然に親しみ、園芸に興味を持ちました。東京府立園芸学校（現在の東京都立園芸高等学校）で造園や育種学を学んだ後、園芸業者での見習いを経て、バラの魅力に惹かれていきます。

1938年、世田谷区奥沢に「とどろきばらえん」を開園。バラの生産と育種に本格的に取り組み始めました。戦後も「とどろきばらえん」を拠点に、バラの展示会に参加したり、京成電鉄の依頼で谷津遊園のバラ園を造園するなど、精力的に活動しました。

京成バラ園芸での活躍

1959年、京成バラ園芸が創業すると同時に研究所所長に就任し、育種家としての才能を大きく開花させました。世界中のバラ育種家と交流し、バラの香りや花色の研究に情熱を注ぎました。1974年には「とどろきばらえん」を閉園し、以降は京成バラ園芸でバラの育種に専念しました。

「ミスターローズ」の誕生

「ミスターローズ」という愛称は、1986年にニュージーランドのバラ園を訪れた際、現地の新聞記事で紹介されたことがきっかけで広まりました。この愛称は、鈴木省三のバラに対する情熱と知識、そして人柄を表すものとして、多くの人に親しまれるようになりました。

バラ育種への貢献

鈴木省三は、バラの育種だけでなく、植物品種の知的財産権である育成者権保護のための法制整備にも尽力しました。その結果、1978年に種苗法が制定され、日本のバラ育種の発展を後押ししました。また、その香りの研究は化粧品会社からも注目され、資生堂の「ばら園」シリーズの香水開発にも深く関わりました。

晩年と遺産

鈴木省三は、京成バラ園芸の顧問に退いた後も、バラの普及と発展に貢献し続け、2000年に86歳で永眠しました。彼の遺志は、現在も京成バラ園芸に受け継がれ、彼が作出した数々のバラは、世界中の人々に愛され続けています。2013年には生誕100周年を記念して、新品種のバラ「ミスターローズ」が発表されました。

主な育種品種

とどろきばらえん時代

1956年：天の川、金色堂、春の武蔵野、夢殿、春の舞、薫夫人、朝霧
1957年：光源氏、根室の朝、浅間
1958年：せせらぎ、雲海、銀嶺、桜島、夏まつり、月明、法隆寺、陽明門、かがりび

京成バラ園芸時代

京成バラ園芸時代に作出した品種は、「京成バラ園芸」名義で発表されています。

関連事項

バラ
京成バラ園芸
東京都立園芸高等学校：校内のバラ園には、鈴木省三が寄贈したバラが栽培されています。
鳩山一郎：バラを愛し、「とどろきばらえん」の常連客でした。
岡本勘治郎：バラの育種家
山崎和子：バラの育種家
最相葉月：鈴木省三らを題材にしたノンフィクション『青いバラ』の作家
* 種苗法

鈴木省三は、日本のバラ界に偉大な足跡を残した人物であり、その功績は今後も長く語り継がれるでしょう。

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