鉄惑星

鉄惑星とは

鉄惑星（てつわくせい、英: iron planet）とは、地球型[[惑星]]の一種であり、その最大の特徴は、ケイ酸塩で構成されるマントルをほとんど、あるいは全く持たない点にあります。代わりに、金属鉄を主成分とする核が天体全体のかなりの割合を占めています。太陽系内では水星がこのタイプに分類される天体として知られていますが、系外惑星においてはさらに巨大な鉄惑星が存在する可能性も指摘されています。

形成過程

鉄惑星の形成には、主に二つのシナリオが考えられています。

1. ジャイアントインパクトによるマントル剥ぎ取り:
初期の惑星形成過程において、岩石と金属で構成された通常の地球型[[惑星]]が、巨大な天体との衝突（ジャイアントインパクト）によってケイ酸塩マントルを失い、金属核が剥き出しになった結果、鉄惑星になったという説です。この説は、水星が鉄惑星である理由を説明する際に良く用いられます。

2. 鉄豊富な原始[[惑星]]系円盤での形成:
別の説では、鉄が豊富に存在する原始[[惑星]]系円盤の中で、直接的に鉄を多く含む惑星が形成されるというものです。この場合、初期からケイ酸塩マントルがほとんど形成されない、純粋な鉄惑星が誕生することになります。

特徴

鉄惑星は、その組成からいくつかの特徴を持ちます。

高密度: 同じ質量を持つ他の地球型[[惑星]]と比較して、鉄惑星は直径が小さく、平均密度が高くなります。これは、鉄がケイ酸塩よりも密度が高いためです。
磁場の弱さ: 鉄惑星は、形成後に急速に冷却が進むため、惑星内部の対流活動が弱く、結果として磁場が弱いとされています。水星の磁場が地球の1%程度しかないのは、このためと考えられています。
地殻変動の少なさ: プレートテクトニクスなどの地殻変動は期待できません。水星に見られる断崖は、惑星形成後の熱収縮の結果と解釈されています。
特異な表面組成: 地球のような環境下では、鉄と水は化学的に共存することができません。そのため、ゴルディロックスゾーンに位置する、液体の水を持つ鉄惑星は、水ではなく、鉄カルボニルのような物質に覆われている可能性があります。

鉄惑星の候補

現在、観測されている中で、鉄惑星の可能性がある天体としてKOI-1843.03が挙げられます。

SFにおける鉄惑星

サイエンスフィクションの世界では、鉄惑星は「Cannonball」という名前で呼ばれることもあります。これは、その高密度な性質が、鉄の球（砲丸）を連想させるためでしょう。

関連する天体

鉄惑星と関連する天体として、以下のようなものが挙げられます。

M型小惑星: 鉄を主成分とする小惑星です。
炭素惑星: 炭素を主成分とする、理論上の惑星です。
地球型[[惑星]]: 岩石や金属を主成分とする惑星の総称です。
太陽系外[[惑星]]: 太陽系外に存在する惑星の総称です。

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