鉄拳 (お笑い芸人)

鉄拳（本名：倉科岳文）は、1972年5月12日生まれの日本のお笑い芸人、イラストレーターで、「超未来戦士」を自称しています。長野県大町市出身で、信濃大町観光大使も務めています。吉本興業東京本社に所属しています。

漫画家、プロレスラー、俳優としての挫折

鉄拳は、もともと漫画家を目指しており、高校在学中にちばてつや賞に入選した経験を持ちますが、その後、漫画家としての道を断念します。次にプロレスの世界に飛び込みますが、レフェリーとしての採用だったためすぐに退団。その後、俳優として活動を開始しますが、滑舌の悪さが原因ですぐに退団することになります。

お笑い芸人「鉄拳」の誕生

挫折を繰り返した鉄拳は、自身の経験を逆手に取り、滑舌の悪いレスラー風の男が絵を活かして芸をしたら面白いのではないかと考えました。1997年に、お笑いプロダクションに入団し、独特の風貌のお笑い芸人「鉄拳」としての活動を始めます。『爆笑オンエアバトル』や『めちゃ×2イケてるッ!』などの人気番組に出演し、人気を博しました。著書である『こんな○○は××だ!』はベストセラーとなりました。

一時休養とパラパラ漫画家としての再ブレイク

その後、個人事務所に移籍しましたが、マネージャーが退社したため、全ての仕事を一人で行うことになり、体を壊して8ヶ月間休養します。2007年、吉本興業に移籍しますが、仕事が減少し、芸人としての自信を失い、2011年に芸人を辞める決断をします。しかし、吉本芸人がカラオケのビデオにパラパラ漫画を描く企画で、急遽オファーを受け、吉幾三の『俺ら東京さ行ぐだ』のパラパラ漫画を制作したところ、これがテレビプロデューサーなどの目に留まり、パラパラ漫画家として再ブレイクしました。

パラパラ漫画「振り子」の世界的な評価

2012年、鉄拳は、フジテレビの番組企画で、MUSEの楽曲『エクソジェネシス（脱出創世記）：交響曲第3部（あがない）』をバックに、夫婦の半生を描いたパラパラ漫画『振り子』を発表しました。この作品はYouTubeにアップロードされると、国内外で大きな話題となりました。MUSE関係者の耳にも届き、『振り子』の映像が『エクソジェネシス（脱出創世記）：交響曲第3部（あがない）』の公式プロモーションビデオに採用され、世界中で配信されました。この出来事は、テレビニュースやドキュメンタリー番組でも取り上げられ、鉄拳はパラパラ漫画家として確固たる地位を築きます。

現在の活動

鉄拳は、パラパラ漫画の仕事を多数抱え、毎日10時間以上、週6日（おはスタ出演のある水曜日以外）は自宅にこもって制作活動をしています。2012年には、第13回ビートたけしのエンターテイメント大賞カムバック賞、2013年には第42回日本漫画家協会賞特別賞を受賞。2016年には、「社会を明るくする運動」への功績が評価され法務大臣感謝状を贈られました。2013年5月には、故郷大町市の観光大使に就任しました。また、2025年放送予定のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』に絵師役として出演することが決定しています。

芸風とエピソード

鉄拳は、スケッチブックに描いた自作のイラストを見せながら、滑舌の悪いトークで「こんなものはいやだ」というフリップネタを披露します。ブラックユーモアを基本としていますが、初期によく行っていた首吊りネタは、最近は控えめです。芸名の由来は、ナムコのゲーム『鉄拳』シリーズで、オフィス★怪人社に入団する際、社長に「鉄拳親父」という芸名を提案したところ、「親父」を省いた「鉄拳」になったと言われています。また、子どもの頃から『週刊少年ジャンプ』を愛読しており、『キン肉マン』のファンで、同作のキャラクターデザインに応募し採用されたこともあります。中学時代から聖飢魔IIのファンであり、再集結ライブにゲストとして登場したこともあります。

その他の活動

鉄拳は、カプセルトイやプライズゲームの景品としてソフトビニール製人形やぬいぐるみになるなど、そのキャラクターは多方面で展開しています。また、自身の健康にも気を遣い、健康法や養生にこだわっています。テレビドラマやアニメにも出演しており、パラパラ漫画制作の分野では、多くのアーティストのPVやCM、テレビ番組のオープニング映像などを手掛けています。著書も多数出版しており、パラパラ漫画を原作とした映画も制作しています。さらに、展覧会を開催するなど、多岐にわたる分野で活躍しています。

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