鉄道国有法

鉄道国有法の概要

鉄道国有法（明治39年法律第17号）は、日本国内の鉄道網を完全に官設に統一するため、民間の鉄道会社を国有化することを定めた法律です。この法律が成立したのは1906年3月31日であり、1920年には改正が行われました。しかし、1987年4月には日本国有鉄道改革法の施行に伴い、鉄道国有法は廃止されました。



この法律により国有化の初年度である1907年には、17の私鉄が買収され、その総延長はおよそ4,500kmに達しました。これにより、官設鉄道の総延長は3倍の約7,100kmへと拡大し、私鉄は地域輸送のみに限られることとなりました。国有化の主な目的には、日本の経済発展の促進や、日露戦争に伴う外債の担保、外国による株式取得の防止などが挙げられます。

鉄道国有論の背景

もともと日本の鉄道は官設官営の方針で進められ、主に井上勝の影響により国有化が強く主張されていました。しかし、財政難により全ての鉄道を官営で運営することは出来ず、一部が民営化せざるを得なくなりました。これにより、井上は鉄道国有論を元に私設鉄道の買収を訴えるも、政府内での合意を得ることは難しい状況でした。特に西南戦争の影響で、政府の財政が逼迫し、鉄道建設の予算が不足し、さらなる民営化を余儀なくされた時期もありました。

鉄道国有化法案の成立

1899年時点で鉄道国有が政治的な課題となり、調査機関が設置されたものの、法案は可決されませんでした。その後、日露戦争を控えた軍部は鉄道の国有化を強く求めるようになり、1906年、西園寺公望内閣のもとで鉄道国有法案が提出され、ようやく成立しました。成立した際の vote は賛成が多数を占め、井上勝の悲願が実現しました。



この法案により、当初は32の私鉄が買収対象となりましたが、最終的には17の私鉄が国有化されました。国有化された鉄道は、官設鉄道として一層の整備が進められ、地域間輸送の効率化が図られました。

国有後の展望と影響

鉄道国有法が施行されると、全国の鉄道路線が官設に統一され、運営体制も見直されました。私鉄買収のために設置された臨時の機関が後に鉄道院へと改編され、全国的な統治が行われていきました。同時に、私鉄の買収により、官設鉄道の規模は飛躍的に拡大し、機関車や車両も格段に増加しました。



国有化以降の鉄道業界では、民営化へ向けた流れが始まりますが、1987年には国家が所有していた鉄道が再び民営化されることとなり、国有化から約80年の時を経て、鉄道産業の管理・運営が民間に戻る結果となりました。この国有法案の影響は今もなお残り、鉄道網の発展に寄与したと評価されています。

もう一度検索