井上勝

井上勝：日本の[[鉄道]]の父

井上勝（いのうえ まさる、1843年8月25日 - 1910年8月2日）は、明治時代の日本の[[鉄道]]発展に多大な貢献をした人物です。長州藩士の家に生まれ、幼い頃から洋学に傾倒し、長州五傑の一人としてイギリスに留学、ユニヴァーシティ・カレッジ・[[ロンドン]]で鉄道技術などを学びました。帰国後は、新政府で鉱山や造幣の仕事に携わった後、鉄道事業に没頭し、日本の[[鉄道]]敷設の中核を担いました。

長州藩士時代からイギリス留学

井上は、長州藩士の家に生まれ、幼少期から優れた知性を示しました。藩校明倫館で学び、蘭学にも通じ、西洋技術への強い関心を持ちました。黒船来航後の動乱期には、沿岸警備に従事する父に同行し、後の親友となる伊藤博文と出会います。その後、長崎海軍伝習所で洋学を修め、さらに江戸の蕃書調所や箱館の塾で航海術や英語を学びました。

留学への強い思いを抱いた井上は、長州藩の許可を得て、伊藤博文、山尾庸三、遠藤謹助、井上馨らと共に、1863年、イギリスに留学します。これは後に「長州五傑」と呼ばれるようになります。ロンドンでは、ユニヴァーシティ・カレッジ・[[ロンドン]]で鉄道技術を含む鉱山技術などを熱心に学びました。しかし、留学生活は決して恵まれたものではなく、経済的にも苦しい時期を過ごしました。

日本の[[鉄道]]敷設への貢献

明治維新後、井上は帰国し、新政府の大蔵省や工部省で要職を務め、鉄道事業に本格的に取り組みます。イギリス人技師の協力を得ながら、新橋―横浜間の鉄道敷設工事に携わり、日本の[[鉄道]]開業に貢献しました。工事の過程では、反対する人々の説得や、技術的な課題の克服など、様々な困難に直面しましたが、粘り強く取り組み、明治5年（1872年）、ついに新橋―横浜間の鉄道が開通しました。

その後も、井上は鉄道事業の推進に尽力し、大阪―神戸間、大阪―京都間の鉄道敷設にも携わりました。さらに、日本人の鉄道技術者育成にも力を入れ、工技生養成所を設立し、多くの優秀な技術者を育成しました。

逢坂山トンネルと日本人技師の挑戦

井上は、京都―大津間の鉄道敷設において、逢坂山トンネルの建設を指揮しました。このトンネルは、日本人のみによって建設された最初のトンネルとして、日本の[[鉄道]]技術の自立を象徴する偉業となりました。建設には多くの困難がありましたが、井上は現場に赴き、自ら作業に携わるなど、指導力を発揮し、完成に導きました。

中山道と東海道、そして東海道本線全通

東京と京都を結ぶ鉄道のルートを巡り、井上は中山道ルートを主張しました。しかし、工事の難しさから東海道ルートに変更し、難工事の連続でしたが、井上は部下を率いて難関を克服しました。明治22年（1889年）、東海道本線が全通すると、井上は勲一等に叙せられ、子爵に叙爵されました。

鉄道国有化論争と晩年

井上は、鉄道国有化を主張し、私鉄との間で論争を繰り広げました。議会との対立もあったため、明治26年（1893年）、鉄道庁長官を辞任しました。しかし、辞任後も、汽車製造合資会社を設立するなど、日本の[[鉄道]]技術の発展に貢献し続けました。明治43年（1910年）、ヨーロッパ視察中にロンドンで亡くなりました。

井上勝の功績と人物像

井上勝は、日本の近代化において、特に鉄道事業の発展に多大な貢献をしました。その功績は、現在も高く評価されています。彼は、技術者としてだけでなく、優れた指導者、交渉者として、数々の困難を克服し、日本の[[鉄道]]網の整備を推進しました。また、酒豪で豪快な性格で知られ、「井上おさる」という愛称で親しまれた、人間味あふれる人物でもありました。彼の生涯は、日本の近代化を象徴するものであり、これからも多くの人々に学び、そして敬意を払われるでしょう。

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