鉢伏山西峰古墳

鉢伏山西峰古墳について

鉢伏山西峰古墳（はちぶせやまにしみねこふん）は、大阪府羽曳野市駒ヶ谷に存在する終末期古墳で、周囲の美しい自然や歴史的背景がある場所に位置しています。この古墳は1994年から羽曳野市教育委員会による発掘調査が実施され、内部の構造が明らかにされました。

位置と地形

この古墳は、標高221mの鉢伏山から延びる丘陵の稜線上にあり、標高135mで、周囲の平地からは100m高くそびえています。丘陵の尾根に単独で立つ特徴的な位置関係から、古墳の歴史的な意義がひしひしと伝わってきます。調査が行われる前から、石槨の一部が開口し、石材が散逸していたため、調査の過程でその詳細が解明されました。

墳丘の構造と形状

古墳の墳丘は、石英安山岩を使って造成されており、非常に精巧な石積みがあります。墳丘は台形状の平面を持ち、東側が約12m、西側が約20mの幅を特色としています。墳丘自体は整形された岩盤を盛り土して形成されており、前面にはテラス状の平坦面が設けられています。周囲を区画する溝があり、この溝は岩盤を掘り抜いて作られ、墳丘を堅牢に守る役割を果たしていると考えられています。

横口式石槨の特徴

この古墳の最も注目すべき点は、横口式石槨です。西方向に開口しており、石槨部の前に前室と羨道を含む構造となっています。石槨部は主に石英安山岩を使い、内法の長さは約2.7m、幅約0.8m、高さ約0.7mです。この石槨は、基盤層の岩盤を刳り抜き加工して作られており、内部は非常に精密です。天井部分だけは異なる石材で作られています。

内部には、漆喰の痕跡があり、これにより密閉性と防水性が考慮されていたと推測されます。前室の床には凝灰岩が敷き詰められ、形状の異なる石材が使われていることが特徴です。羨道部は保存状態が悪く、原位置に残っている石材は限られていますが、排水溝の構造が確認されており、古墳の建設に高い技術が用いられたことが伺えます。

出土した遺物と築造の時期

発掘調査により、棺の金具や副葬品はほとんど見つかりませんでしたが、土師器や須恵器、磚が出土しています。須恵器の特徴から、これらは7世紀中葉ごろに作られたと考えられています。このように、古墳の築造時期もこの時期に重なると推測され、周辺の歴史的背景との関連性も考えられるでしょう。

まとめ

鉢伏山西峰古墳はその神秘的な構造と豊かな歴史により、研究の対象として非常に重要です。この古墳を通じて、古代の人々がどのように文化を築き、土地との関わりを持っていたのかを考察することができます。羽曳野市での観光や歴史研究の一環として、この古墳を訪れることは多くの人にとって魅力的な体験となるでしょう。

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