終末期古墳

終末期古墳とは

終末期古墳とは、古墳時代後期、具体的には7世紀頃に築造された古墳を指す言葉です。この時代は、古墳時代から飛鳥時代へと移行する時期であり、政治や文化に大きな変化が見られました。終末期古墳は、前方後円墳の築造が終わりを迎えた後、律令制国家の形成が進む中で出現した、新しい様式の古墳として注目されています。

終末期古墳の定義

終末期古墳という区分は、考古学者の森浩一氏によって提唱されました。この区分は、古墳時代をどこまで含むのかという議論にもつながり、研究者の間でも意見が分かれるところです。しかし、7世紀頃に築造された古墳が、それ以前の古墳とは異なる特徴を持っているという点は、多くの研究者によって認められています。

終末期古墳の特徴

墳形

終末期古墳の墳形は、多様性に富んでいます。円墳、方墳、八角墳、上円下方墳などが確認されており、特に天皇陵では、前方後円墳から大型方墳、そして八角墳へと変化が見られます。八角墳には、完全に八角形の形をしたものと、上部が八角形で下部が方形という二つのタイプがあります。

埋葬施設と副葬品

埋葬施設には、横穴式石室や横穴のほか、横口式石槨、木炭槨などが用いられました。棺には木棺や石棺に加え、乾漆棺、須恵器の四注式屋根形陶棺などが用いられた例があります。副葬品は、全体的に少ない傾向にありますが、銅貨銭が特徴的な副葬品として知られています。

代表的な終末期古墳

前方後円墳

浅間山古墳: 全長78メートルの前方後円墳で、終末期に築造された最後の前方後円墳の一つとされています。
胡麻手台16号墳: 全長86メートルの前方後円墳で、浅間山古墳と同様に、終末期の前方後円墳の終焉を示す古墳です。

大型方墳

龍角寺岩屋古墳: 一辺78メートルの大型方墳で、終末期古墳の中でも最大級の規模を誇ります。
駄ノ塚古墳: 一辺62メートルの方墳で、西暦610年から620年の間に築造された可能性が高いとされています。

天皇陵

春日向山古墳（用明天皇陵）: 63×60メートルの方墳です。
山田高塚古墳（推古天皇陵）: 63×56メートルの方墳です。

その他の地域

飛鳥地域: 赤坂天王山古墳、段ノ塚古墳（舒明陵）、秋殿南古墳、艸墓古墳、谷首古墳、石舞台古墳、都塚古墳、天武・持統陵、平田岩屋古墳、菖蒲池古墳、岩屋山古墳、牽牛子塚古墳、高松塚古墳、中尾山古墳、キトラ古墳、束明神古墳、マルコ山古墳など、多くの終末期古墳が集中しています。
近畿地方: 西宮古墳、峯塚古墳などがあります。
関東地方: 八幡山古墳、山室姫塚古墳、壬生車塚古墳、総社愛宕山古墳、宝塔山古墳、松面古墳、割見塚古墳、蛇穴山古墳、穴八幡古墳、武蔵府中熊野神社古墳、天文台構内古墳などがあります。
備後地方：大佐山白塚古墳、大坊古墳、尾市1号古墳、猪の子古墳などが存在します。
* 北陸地方: 河田山12号墳などがあります。

終末期古墳の意義

終末期古墳は、古墳時代の終焉と律令国家形成という、歴史的な転換期における重要な遺産です。これらの古墳は、当時の社会構造や文化、そして人々の思想を知る上で欠かせない手がかりとなります。特に、飛鳥地域に多く見られる終末期古墳は、古代史を研究する上で重要な史跡として、多くの人々に注目されています。高松塚古墳やキトラ古墳は、壁画古墳としても有名で、当時の文化を知る上で大変貴重な資料となっています。

まとめ

終末期古墳は、古墳時代から飛鳥時代への移行期に築造された、特異な古墳群です。墳形や埋葬施設、副葬品など、様々な面でそれ以前の古墳とは異なる特徴を持っています。これらの古墳は、古代史を研究する上で重要な手がかりとなるだけでなく、古代の文化や技術を知る上でも貴重な遺産です。終末期古墳の調査研究は、今後もさらに進展していくことが期待されます。

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