鉢屋衆

鉢屋衆の歴史と役割

鉢屋衆（はちやしゅう）とは、祭礼や正月に特有の芸を披露する芸能集団であり、その一方で兵役も引き受けた歴史的な存在です。この集団は、元々平将門の乱に関与していた飯母呂一族に由来しており、平将門の死後、多くの一族が全国に散らばりました。特に、山陰地方へ逃れた一族が鉢屋衆として発展し、筑波山へ向かった一部は風魔衆となったと言われています。

鉢屋衆の歴史はその起源に深く根ざしています。文明18年（1486年）には、京極氏に追放された尼子経久の富田城奪還を手助けしました。鉢屋衆の一部である賀麻党は、月山山麓に住んでおり、毎年元日に富田城での祝いの舞を行うことが習慣となっていました。この舞は、経久にとって重要な機会となり、賀麻党の党首である鉢屋弥之三郎を味方にすることに成功します。

元日、午前3時ごろ、賀麻党の七十余人は、にぎやかな笛や太鼓の音に導かれ、富田城の大手門を通過しました。彼らは烏帽子をかぶり、素襖の下には忍ばせた武具を隠していました。一方、城内では武士や子供たちが舞を楽しむために集まっていました。その頃、経久の一党はすでに城に潜入しており、太鼓の合図と共に城内で火を放ち、襲撃を開始したのです。

賀麻党もまた、見物人に襲い掛かり、混乱の中で城主・塩冶掃部介は自刃したという結末を迎えました。この一連の出来事により、経久は富田城の主に復帰しました。これによる功績から、弥之三郎は本丸の北に位置する鉢屋平に長屋を与えられ、その居住地は「やぐら下組」と呼ばれるようになりました。以降、鉢屋衆は奇襲やだまし討ちなど、独特の戦術を駆使し、しばしば戦乱の中で名を上げていくこととなります。

鉢屋衆の活動や歴史は、戦国時代における地域の力関係や文化的な側面を理解する上で重要な要素となっています。彼らの存在は、単なる戦士や芸能集団に留まらず、当時の人々の生活や信念とも深く結びついていたのです。鉢屋衆の遺産は、後世にわたる日本の歴史や文化においても影響を与え続けています。

関連項目

• - 尼子氏
• - 尼子経久
• - 鉢屋弥之三郎

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