銀嶺の覇者

銀嶺の覇者 (Ritchie Blackmore's Rainbow)

『銀嶺の覇者』は、1975年7月にリッチー・ブラックモアズ・レインボー名義で発表された、レインボーのデビューアルバムです。リッチー・ブラックモアがディープ・パープルを脱退し、新たな音楽性を追求するために結成したバンド、レインボーの第一歩を示す作品として、音楽史にその名を刻んでいます。

制作の経緯

1974年、ディープ・パープルのギタリストであったリッチー・ブラックモアは、バンドの音楽性の変化に不満を抱いていました。彼はクォーターマスの楽曲「ブラック・シープ・オブ・ザ・ファミリー」のカバーを提案しますが、バンドメンバーに受け入れられず、自身の音楽的欲求を満たせない状況にありました。

そんな中、ブラックモアは、以前からディープ・パープルの前座を務めていたエルフのボーカリスト、ロニー・ジェイムス・ディオの才能に目を留めます。彼はディオを起用し、「ブラック・シープ・オブ・ザ・ファミリー」をソロシングルとして発表することを決意。さらに、ディオと共同で新曲「16世紀のグリーンスリーブス」を作詞・作曲し、エルフのメンバーと共にレコーディングを行いました。

レコーディングの結果に満足したブラックモアは、これらの楽曲を基にアルバムを制作することを決意。ディープ・パープルを脱退し、ディオらと新たなバンド、レインボーを結成します。

1975年2月から3月にかけて、ミュンヘンのミュージックランド・スタジオでアルバムのレコーディングが行われました。その後、ブラックモアはディープ・パープルのヨーロッパツアーに参加し、4月7日のパリ公演を最後に正式に脱退。同年8月、『銀嶺の覇者』がリッチー・ブラックモアズ・レインボーのデビューアルバムとして発表されました。

アルバムの内容

アルバムには全9曲が収録されており、そのうち7曲がブラックモアとディオの共作です。ブラックモアの卓越したギターテクニックと、ディオの力強く表現力豊かなボーカルが融合し、ハードロックの新たな可能性を切り開いています。

「スティル・アイム・サッド」は、ジェフ・ベック在籍時のヤードバーズの楽曲のインストゥルメンタルカバーです。原曲の哀愁漂うメロディーを、ブラックモアのギターが鮮やかに蘇らせています。

収録曲

1. 銀嶺の覇者 (Man on the Silver Mountain)
2. 自画像 (Self Portrait)
3. 黒い羊 (ブラック・シープ・オブ・ザ・ファミリー) (Black Sheep of the Family)
4. 虹をつかもう (Catch the Rainbow)
5. へび使い (Snake Charmer)
6. 王様の神殿 (The Temple of the King)
7. もしもロックがきらいなら (If You Don't Like Rock 'n' Roll)
8. 16世紀のグリーンスリーヴス (Sixteenth Century Greensleeves)
9. スティル・アイム・サッド (Still I'm Sad)

参加メンバー

ロニー・ジェイムス・ディオ - ボーカル
リッチー・ブラックモア - ギター
ミッキー・リー・ソウル - キーボード
クレイグ・グルーバー - ベース
ゲイリー・ドリスコール - ドラムス
ショシャーナ - バックコーラス

その後

アルバム発表後、ブラックモアはディオ以外のメンバーを一新することを決意し、ソウル、グルーバー、ドリスコールを解雇。レインボーは、ブラックモアとディオを中心としたバンドとして、新たなスタートを切ることになります。

『銀嶺の覇者』は、レインボーの輝かしいキャリアの幕開けを告げる作品であるとともに、リッチー・ブラックモアとロニー・ジェイムス・ディオという二人の才能が出会った奇跡を記録した、音楽史に残る名盤と言えるでしょう。

もう一度検索