ロニー・ジェイムス・ディオ

ロニー・ジェイムス・ディオ（Ronnie James Dio、1942年7月10日 - 2010年5月16日）は、アメリカ合衆国出身のロックミュージシャン、シンガーソングライターです。本名はロナルド・ジェームズ・パダヴォナ（Ronald James Padavona）と言います。

彼は主に、ハードロック/ヘヴィメタルバンド「レインボー」や「ブラック・サバス」の元ボーカリストとして広く知られています。また、自らが率いたバンド「ディオ」でも精力的に活動しました。

ディオの声は、非常に張りのある中音域と伸びやかな高音が特徴で、時に演劇的ですらあるドラマチックな歌唱スタイルは、様式美ヘヴィメタルの確立に大きく貢献し、多くのフォロワーを生み出しました。

欧米人としては比較的小柄な体格でしたが、それをものともしない声量と、晩年まで衰えることのないパワフルな歌唱で観客を魅了しました。その音感の良さから「絶対音感のボーカリスト」とも称され、ライブパフォーマンスでも音程を外すことはほとんどありませんでした。幼少期からトランペットのトレーニングを受けていたこと、そして膨大な量のオペラを聴いて育ち、特にマリオ・ランツァから大きな影響を受けたことが、彼の音楽的才能を育む素地となりました。

60歳を超えても精力的に活動を続けたことから、メタル界のゴッドファーザーとして尊敬を集めました。日本では、その歌唱スタイルが「演歌のようにこぶしを効かせた歌い回し」と評され、「ヘヴィメタル界の北島三郎」として親しまれました。また、ヘヴィメタルにおけるメロイックサイン（悪魔の角のジェスチャー）を広めた人物としても知られています。

ディオの音楽活動は1957年に始まりました。当時学生だった彼は「ヴェガス・キングス」（Vegas Kings）というバンドを結成し、ボーカリストとベーシストを兼任しました。1958年には「ロニー・アンド・ザ・レッド・キャップス」（Ronnie And The Red Caps）を結成し、シングルを500コピー制作しました。1962年にバンドを「ロニー・ディオ・アンド・ザ・プロフェッツ」（Ronnie Dio And The Prophets）と改名し、1963年にデビュー・アルバムを発表しました。音楽キャリアとしてはザ・ビートルズと肩を並べるほどのベテランですが、ブレイクしたのは比較的遅咲きでした。

1970年代には、「エルフ」のメンバーとしてディープ・パープルの前座を務め、その才能がリッチー・ブラックモアに見出され、1975年に彼が結成した「レインボー」の主要メンバーとなりました。これにより、ディオは押しも押されもせぬハード・ロック・シンガーとしての地位を確立しました。

1978年末にレインボーを脱退し、「ブラック・サバス」での活動を経て、1982年に自身のバンド「ディオ」を結成しました。1991年にはブラック・サバスに復帰しますが、翌年に再び脱退し、その後はディオの活動に専念しました。しかし、メンバーチェンジや音楽性の模索が続き、商業的には苦戦を強いられました。

1986年には、ディオのメンバーを中心に、アフリカの飢餓救済を目的としたチャリティ・プロジェクト「ヒア・アンド・エイド」を結成し、当時活躍していたヘヴィメタル系ミュージシャンを多数迎えてアルバム『スターズ』を制作発表しました。

2007年、彼が在籍していた時期のブラック・サバスの楽曲を集めたベスト・アルバムの発表を機に、アルバム『悪魔の掟』のレコーディング・メンバーであったヴィニー・アピス、ギーザー・バトラー、トニー・アイオミと再結集し、1980年に彼が加入して最初に発表されたアルバムのタイトルに由来する「ヘヴン・アンド・ヘル」名義でツアーを行いました。

2009年には、ヘヴン・アンド・ヘルとして初のアルバムをリリースし、ヴァッケン・オープン・エアやラウドパークを含む大規模なツアーを行いましたが、同年11月27日に公式サイトで早期の胃癌と診断されたことが発表され、予定されていたヘヴン・アンド・ヘルとディオのヨーロッパ・ツアーは全てキャンセルされ、闘病生活に入りました。

2010年5月16日午前7時45分（米中部夏時間）、ヒューストンで死去。享年67歳でした。

ロニー・ジェイムス・ディオは、その音楽性とカリスマ性で、多くの人々に影響を与え、ヘヴィメタル界の伝説として、今もなお語り継がれています。

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