銀時計

銀時計（ぎんどけい）

銀時計は、純銀または銀のメッキが施された時計で、光沢のある銀色のケースを持つ時計を指します。この時計は、主に装飾品や高級品として重視され、特別な意味合いを持つことがあるのです。

恩賜の銀時計

特に注目すべきは、明治時代から第二次世界大戦にかけて、帝国大学や各種軍学校において優秀な成績を残した学生に与えられた「恩賜の銀時計」です。この時計は天皇から贈られるもので、成績优秀者に対して授与される褒賞とされていました。卒業式の際に天皇もしくはその代理者が臨席し、直接授与することがなされており、それは至高の名誉と見なされていました。

この銀時計を授与された学生たちは「銀時計組」と呼ばれ、名誉ある仲間として認識されていました。対象となったのは、軍学校だけでなく、後には帝国大学や商船学校、陸軍士官学校、陸軍騎兵学校といった教育機関へも広がりました。特に東京帝国大学では、1899年から1918年まで続いた授与制度によって、323人が授与の対象となっています。

選定基準は必ずしも明確には定められていませんでしたが、主に成績や人格が評価され、各分野で1名が選ばれる場合が多かったとされます。これにより、学生たちは単なる成績だけでなく、その人間性においても優れている必要があったのです。

また、銀時計は文学作品にも登場しており、夏目漱石の小説『虞美人草』の中では、登場人物の小野が銀時計を授与された優秀な学生として描かれています。このように、銀時計は時代を超えてさまざまな文脈で語られてきました。

名古屋駅の銀時計

現代においても銀時計は特定のオブジェとして存在しており、JR名古屋駅には「銀時計」という名のオブジェがあります。このオブジェは通行人や旅行者が待つためのスポットとして知られており、名古屋のランドマークの一つとなっています。待合場所としての役割を果たし、多くの人々に親しまれる存在です。

まとめ

銀時計は、その美しい輝きとともに、特別な歴史を持つ時計です。軍学校から始まった伝統は多くの学生たちに名誉をもたらし、今なお銀時計は美術品や記念品としての価値を保っています。名古屋駅のオブジェもその一部として、多くの人々に愛され続けているのです。銀時計は、時を刻むだけでなく、その背後にある歴史や文化を象徴する存在であって、今後もその価値が色あせることはないでしょう。

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