銀河英雄伝説の歴史上の人物

銀河英雄伝説の歴史的人物

本稿では、田中芳樹氏のSF小説『銀河英雄伝説』に登場する、作中世界の歴史を彩った人物たちを解説します。原作の記述・設定を基に、読みやすさを重視してリライトしました。

ゴールデンバウム王朝歴代皇帝

暦年は特に断りがない限り帝国暦です。

ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム

銀河帝国初代皇帝。銀河連邦時代に、軍人としての声望と政治手腕によって独裁体制を築き、銀河帝国を成立させました。身長195センチ、体重99キロという偉丈夫で、英雄としてのカリスマ性を持つ一方、帝国成立後は専制君主として市民を弾圧しました。

社会的弱者への苛烈な取り締まりや、度量衡の単位を自身の身体的特徴に合わせようとするなど、自己神聖化の傾向も見られました。晩年には、待望の男児が先天的な障害を持っていたことが、精神的な苦痛となり、崩御の原因になったとも言われています。

ジギスムント1世

第2代皇帝。ルドルフ1世の長女カタリナの子。ルドルフの死後、各地で勃発した共和主義者の反乱を鎮圧し、帝国の礎石を固めました。良民に対しては比較的公正な施政を行い、有能な専制君主と評されています。

リヒャルト1世

第3代皇帝。政治よりも美女、狩猟、音楽に没頭しましたが、大きな問題を起こすことなく一生を終えました。

オトフリート1世

第4代皇帝。陰気な保守主義者で変化を嫌い、趣味を持たない禁欲的な人物でした。始祖ルドルフ大帝を崇拝し、その前例に固執するあまり「灰色の皇帝」や「散文的」と評されました。

カスパー

第5代皇帝。即位時は凡庸でしたが、最高権力者エックハルトへの反発心から才気を隠すようになりました。芸術を好み同性愛者でもあり、カストラートの美少年フロリアンを寵愛していました。エックハルトの誅殺後、フロリアンと駆け落ちし消息を絶ちました。

ユリウス1世

第6代皇帝。76歳で即位し、息子フランツ・オットー大公の才覚が期待されました。フランツ・オットーが実質的な執務を担い、エックハルト時代の悪政を多く改めました。95歳で皇太曾孫カールに毒殺されました。

ジギスムント2世

第7代皇帝。別名「痴愚帝」。カールから皇位を奪い、国庫を浪費し、悪政を行いました。豪商300人を無実の罪で皆殺しにするなどの暴挙を重ね、皇太子オトフリートによって皇位を追放されました。

オトフリート2世

第8代皇帝。別名「再建帝」。父帝を廃位し即位。フランツ・オットーの時代に倣った政策を行い、悪政を改め、名君と称されましたが、過労により6年で早世しました。

アウグスト1世

第9代皇帝。「後宮の凡君、国政の名君」と称され、国政においては優れた手腕を発揮しましたが、私生活は堕落していました。

アウグスト2世

第14代皇帝。別名「流血帝」。ゴールデンバウム朝の歴史において最も悪名高い皇帝と評され、数百万から数千万の人々を虐殺しました。

エーリッヒ2世

第15代皇帝。別名「止血帝」。アウグスト2世の暴虐を止めた皇帝として知られています。

マクシミリアン・ヨーゼフ2世

第23代皇帝。別名「晴眼帝」。ゴールデンバウム朝の名君として誉れ高い皇帝。ミュンツァーを重用し、悪弊を取り除き国力回復に努めました。

マンフレート2世

第27代皇帝。別名「亡命帝」。自由惑星同盟に亡命し、リベラルな空気の中で育った異例の経歴を持つ皇帝。同盟との宥和政策を図りましたが、即位1年後に暗殺されました。

オトフリート4世

第33代皇帝。別名「強精帝」。歴代の中でも特に好色な皇帝で、1万人以上の美女を集め快楽を貪り、624人の庶子をもうけました。

フリードリヒ4世

第36代皇帝。本編開始時点の皇帝。

カザリン・ケートヘン1世

第38代皇帝。最初の女帝であり、最後の皇帝。

その他の重要人物

エルンスト・ファルストロング

初代内務尚書かつ社会秩序維持局の初代局長。ルドルフの腹心として、不穏分子の弾圧にあたりました。

ヨアヒム・フォン・ノイエ・シュタウフェン

ルドルフの娘婿でジギスムント1世の父。帝国宰相として、反乱鎮圧に貢献しました。

エックハルト

オトフリート1世治世下の皇帝政務秘書官。権勢を誇り、国家を壟断しました。

フランツ・オットー

ユリウス1世の嫡子で皇太子。摂政として事実上の親政を行い、エックハルトの暴政で乱れた帝国を改めました。

アーレ・ハイネセン

自由惑星同盟の建国者。アルタイル第7惑星から脱出し、同志と共に長征1万光年を敢行しました。

グエン・キム・ホア

ハイネセンの盟友。ハイネセンの事故死後に、その偉業を引き継ぎ達成させました。

リン・パオ

ダゴン星域会戦の同盟側総司令官。戦略家、戦術家として一流の少壮の軍人。

ユースフ・トパロウル

ダゴン星域会戦の参謀長。「ぼやきのユースフ」と呼ばれ、事あるごとに不平と毒舌を漏らす理論家。

ヘルベルト

ダゴン星域会戦の帝国側総司令官。皇帝フリードリヒ3世の三男で次期皇位を確実視される野心家。

ブルース・アッシュビー

第2次ティアマト会戦の同盟軍側総司令官。「730年マフィア」の筆頭で歴史上の英雄。

マルティン・オットー・フォン・ジークマイスター

帝国からの亡命軍人。アッシュビーに情報を提供することで共和主義の理念を達成しようとしました。

レオポルド・ラープ

フェザーン初代自治領主。地球教の工作員。

これらの人物たちの活躍や功績は、『銀河英雄伝説』の世界観をより深く理解するための重要な要素となっています。

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